30位：自転車吐息
29位：俺は園子温だ!
28位：0cm4
27位：桂子ですけど
26位：BAD FILM
25位：部屋/THE ROOM
24位：ひそひそ星
23位：Strange Circus 奇妙なサーカス
22位：クソ野郎と美しき世界「ピアニストを撃つな！」
21位：うつしみ

原作は山田悠介の有名な小説「リアル鬼ごっこ」……なのですが、じつはこの作品、中身が原作とはまったくの別物です。というのも、そもそも監督の園子温は原作小説を読んだことすらなく、その強烈なインパクトを誇るタイトルにインスパイアを得て撮った作品だからです。

まあ、作品の成り立ちがそんな感じなので、主人公も女子高生三人組に変わっており、追いかけられる理由もまったくの別。もう「追いかけられる」以外に原作小説の影も形もないです。だけどそこが園子温節というか、ファンにとっては堪らないところなのではないかと個人的には思ったりしています。

「デトロイト・メタル・シティ」でお馴染みの漫画家・若杉公徳の傑作超能力コメディ漫画を実写映画化したものがこちら。愛と恋とお色気と超能力が交錯するコメディ映画で、くだらない内容とテンポのいい展開は肩の力を極限まで抜いて楽しく鑑賞することができます。

その内容は自身の内なる欲望……すなわち「エロ目的」のみで超能力を駆使してきた主人公たちが、いろいろあって悪の能力者たちと対峙することに。しかし所詮は烏合の衆のポンコツ集団、そう簡単にうまくいくはずもなく……というもの。頼りなくも下品な主人公たちの行動や言動は、観ているこちらを飽きさせることがありません。

累計発行部数800万部を誇る超人気漫画「新宿スワン」の実写映画化の第二作目。新宿歌舞伎城を根城とするスカウトたちとその周囲の人々、そして彼らの野望や欲望を描いた本作は、第一作の好評と興行的成功を受けて製作されました。

第二作目である「新宿スワンII」では主人公が所属するスカウト会社「新宿バースト」の横浜進出の野望、それを阻止して逆に新宿を飲み込んでやろうとするタキと呼ばれる男との争いが描かれています。園子温特有の尖った感じはあまりないですが、娯楽作としては非常に優秀な作品なのではないでしょうか。

井上三太の伝説的漫画「TOKYO TRIBE」が鬼才・園子温監督の手で実写映画化！　……したのですが、残念ながら映画化したのは「TOKYO TRIBE2」の方。しかし題名は「TOKYO TRIBE」となっているので、公開当初は勘違いしてしまう人も多かったのではないでしょうか？

「TOKYO TRIBE」はいわゆるギャングものに分類される映画でしょう。「トライブ」と呼ばれるギャングチームが乱立している東京を舞台に、若者たちの無軌道な暴力や犯罪、友情や愛をディストピア風な世界観で描いています。ノワールものが大好き！　という方は間違いなく一見の価値あり！

こちらは日活ロマンポルノ45周年を記念した作品のひとつなのですが、そこは一筋縄ではいかないことに定評のある園子温。ふつうにロマンポルノを撮るような芸のない真似はしません。なんとこの作品、題名からもわかるとおり、ロマンポルノの記念作品でありながら「アンチポルノ」をテーマに掲げて撮られているのです！

どうでしょう、この反抗期の少年のような小憎たらしいアンチテーゼな映画は。まさしく園子温。日活ロマンポルノに思い入れがないからこそ、こういう作品を撮ろうと思えるのでしょう。というか日活の方もよく「アンチポルノ」をテーマにした作品を許可したものだよ……ふつうならNG確実でしょうし。

今でこそ日本だけでなく世界でもその名を認知されている園子温。彼がまだ無名だった二十五年前に書き上げた脚本を映画化した本作は、本人曰く「魂の集大成」とのこと。愛という人類の普遍的なテーマを描きつつも、そこに怪獣特撮の要素を盛り込んだ異色作です。

ロックスターへの道を駆け上がっていく冴えないサラリーマン、ひとりの老人とおもちゃたちの住む不思議な地下世界、そして巨大化するミドリガメ等、「これでもか！」とエンタメをぶち込んだ闇鍋的な作品である「ラブ＆ピース」。それなのに心が現れるような綺麗さとホロリと涙してしまう感動的な映画に仕上がっているところが心憎いです。

井上陽水の同名曲をモチーフにして製作された「夢の中へ」。仲間由紀恵の旦那さんであり、名助演としても知られる田中哲司の映画初主演作品でもあります。園子温は本作で夢と現実がごちゃ混ぜになりなりながら人生を疾走する冴えない役者の姿を描きだしました。

もう園子温節というか、園子温の持つ世界観が炸裂しまくっている「夢の中へ」。それだけに人を選ぶ作品ではありますが……よく考えればこの監督の作品はどれもそのような感じなので、特に問題ないですね。園子温の世界観が自身の感性とマッチすれば、これほどおもしろい作品はそうそうないのではないでしょうか？

日本を代表する歌手である松任谷由実が荒井由実名義で活動していた頃の名曲「翳りゆく部屋」にインスパイアされて製作された本作。尖りに尖った作風で日本のみならず世界にその名を轟かせていた園子温が、真正面から作った青春映画です。

その内容は大学を卒業してバラバラになっていたサークル時代の仲間が、サークルのリーダーの悲報を機に一同で集まることとなり、気球や恋、友情に全力だった青春を振り返っていくというもの。もう過ぎ去ってしまった青春時代、しかしあの頃は間違いなく輝いていた。そのことを思いださせてくれる、ノスタルジックな秀作です。

主演に超個性派俳優・オダギリジョーを迎えて製作された青春バイオレンスノワールドラマ。本作では生ぬるい生活に嫌気がさした主人公がアメリカのニューヨークに渡り、次第に裏社会の犯罪生活へとのめり込んでいく様を克明に描きだしています。

もう勢いだけで最後まで突っ走ってやるぜ！　という感じの映画で、エネルギーを持て余すばかりに暴走し続ける若者たちの姿は、観ていてハラハラすると同時に「アホだなぁ」という苦笑いも浮かんできます。それなのになぜかカッコよくて爽快感さえ感じさせてくれる。それもこれも園子温という監督の持つ独特の世界観がなせる技なのでしょう、きっと。

グロとホラーと不快感に彩られながらも、なぜか目を離すことができない。それが「自殺サークル」という映画であり、園子温という鬼才が世で注目を集めることになったきっかけとなった作品といってもいいでしょう。

集団自殺というセンセーショナルな題材を扱った本作。主人公は都内で連鎖的に起こる集団自殺に翻弄される刑事。彼はこの集団自殺は果たして事故なのか、それとも事件なのかで戸惑いながらも、この集団自殺をとめるために必死で奮闘するが……というのがその内容。最初の五十人を超える女子高生のプラットホームに飛び込んでの集団自殺のシーンは、日本映画史に残るグロシーンなのでじゃないでしょうか？

人気漫画「新宿スワン」の実写映画化、第一作目。主演は綾野剛で、脇には山田孝之や沢尻エリカなどの超豪華俳優陣で固めた本作は、観客動員数で1位を獲得するなど興行面で大きな成功をおさめました。

しかし惜しむらくは今作では園子温特有の尖った世界観がなりを潜め、エンターテイメントに徹しているところでしょうか。しかし娯楽作としては超優秀で、誰が観てもおもしろいと思える作品に仕上がっています。

こちらも漫画原作の実写映画化。トッキントッキンに尖った原作に日本でも屈指の尖った映画監督である園子温が加わったことで誕生した映画版「ヒミズ」は、原作とはひと味違うサスペンスホラーの秀作として多くの人々から高評価を得ました。

主人公とメインヒロインを務めた染谷将太と二階堂ふみは、この作品でベネチア国際映画祭で新人賞を受賞。また映画版「ヒミズ」では東日本大震災後の日本が舞台となっていたりと、けっこうな変更が加えられています。ラストも原作とは違うので、一度、映画版と見比べてみるのもおもしろいかも？