近年のテレビ番組は、クイズ番組や、生活に関係する情報番組など、主婦層を意識したテレビ番組ばかり放送される傾向にあります。しかし、1980年代から1990年代、今のテレビ番組では実現できないような過激なものも放送されていました。

「マネーの虎」とは、まだ世間のテレビ離れが深刻化していなかった2001年から日本テレビ系列で放送された番組で、深夜帯での放送から始まり、2002年にはゴールデンタイムに移動しました。

基本的な内容は、資金が必要な人たちが志願して出演し、企業の社長を務め、十分な資産を持った「虎」たちにプレゼンテーションを行い、資金を獲得するという流れが繰り広げられました。

番組の話題性は抜群だったのですが、マンネリ化により視聴率が低迷してしまい、深夜枠に戻った後、2004年に放送終了しました。

マネーの虎で司会を務めていたのが、俳優として活動している吉田栄作さんでした。どのような個性的な志願者が登場し、虎たちとバトルを繰り広げても、一切表情を変えない様子も印象的でしたね。

志願者のプレゼンテーションが絶望的な状況になると、吉田栄作さんの口から「ノーマネーでフィニッシュです」と発言され、それと同時にプレゼンテーションは失敗に終わります。

そのため、この言葉が、マネーの虎を象徴する一言でもあると言えますね。

虎たちから資金を獲得したからと言って、全員が成功したわけではありません。逆に、ノーマネーでフィニッシュした志願者も、自力で事業を開始し、成功を収めた例もあります。

今回は、成功を収めた志願者たちのランキングを制作しました。また、マネーの虎の放送当時に話題になった一部の虎たちの現在も調査しました。

ブライダルなどでの司会業を行っていた大川祝続さんは、ブライダルプロデューサーを育成するスクールの広告資金888万円を希望しマネーの虎に出演しました。司会業という職業柄かその口調は独特で、どこかうさんくさい雰囲気が印象的でした。

出資を要望しているにもかかわらず、実は貯金が900万円あるということを明かすと、堀之内社長が厳しく反論。残念ながらマネー不成立となりました。

プレゼンではうまくいかなかった大川祝続ですが、その後は婚礼司会者として大活躍されているそうです。また、ブライダル業とは別にエステ経営などでも成功しているとか。

マネーの虎ではあまり快く思われていなかったようですが、司会者としての実力は確かだったということでしょう。

モンゴルでタクシー会社を立ち上げたいと1752万円の出資を希望した辻康裕さん。なぜ日本ではなくモンゴルなのかというと、モンゴルは当時、厳しい寒さにもかかわらず移動手段がなかったことから、タクシーの利用が増えてきたとのこと。そこにいち早く目をつけ、思い切った起業を試みました。

現実的な着眼点と完成度の高いプレゼンにより、見事社長たちから1200万円の出資を取り付けることに成功。ストリートチルドレンなどの問題がありつつも、条件付きで希望金額の全額を出資してもらうことになりました。

立ち上げたタクシー会社は軌道に乗り、一時期は月収100万円にまでなったそう。しかし数年後にはモンゴルにもタクシーが広く普及し、経営が厳しくなってきたころに会社を売却しました。その後は居酒屋などを経営し成功を収めたそうです。

また、日本では日本維新の会で衆議院選に出馬もしていました。37000票の得票数を獲得したものの残念ながら落選。しかしもしかすると本当に国会議員になる日も近いのかもしれません。

手作りのキムチを移動販売したいと出資を希望したキムさん。結果的に希望金額の360万円の出資を受けることに成功しました。社長たちの出資の決め手は、プレゼンや事業の内容というよりもキムさんの人柄によるものが大きかったようです。社長の一人からは、事業に使用するための車まで譲られたそう。

キムさんのプレゼンが行われた放送回は「感動的」とも話題で、マネーの虎の出演者のなかでも、キムさんは視聴者に強い印象を残した志願者だったと言えるでしょう。

実はキムさんは、マネーの虎に出演する前からキムチを販売しており、周囲からも好評だったとのこと。おいしいキムチを武器に、現在も移動販売を続けているそうです。

小路五郎さんは、あっさりでもこってりでもない「あってり麺」を東京に出店したいと980万円の出資を希望。番組内で実際にあってり麺を社長たちに振る舞ったところ、反応は上々でした。

しかし、プレゼンにどこか拙さがあったことからか、残念ながらマネー不成立。女性社長たちの心を短時間で掴み切ることはできなかったようです。

出資を受けることはできませんでしたが、あってり麺へのこだわりは捨てずに日々作り続けてきた小路五郎さん。その努力が実り、長野県の軽井沢に店舗をオープンしました。東京にも出店していたようですが、現在は軽井沢の店舗であってり麺を提供しているようです。

ちなみに、小路五郎さんの息子さんもラーメン屋を経営しており、群馬県に店舗を構えているとのこと。

とにかくペットが好きだという千代敬司さん。ペットのために、ペットを健康にする「不思議な水」を販売したいという夢を抱いてマネーの虎に出演しました。

水を利用した眉唾物の商品が多い中、ペットを健康にするという水に対しては社長たちも訝しげな視線を送っていましたが、プレゼンが進むにつれて千代敬司さんのペットへの確かな愛情を感じ、見事マネー成立。希望金額の370万円全額を出資してもらえることになりました。

千代敬司さんはマネーの虎に出演後、「チヨペット」という会社を立ち上げ、不思議な水をはじめとするペット関連アイテムを販売しています。主にインターネットでの販売ながらも売り上げは順調に伸び、現在も経営は安定しているようです。

実業家として将来が期待される志願者も大勢出演していたマネーの虎ですが、多額の資金に目がくらみ、虎たちに批判されるだけで消えてしまった志願者も少なくはありませんでした。

ラーメン屋をオープンさせたいという村野達郎さんは、かつては早食ファイターとして活動していたそうです。食べることが大好きで、ラーメンに関しては1食で4杯も食べたことがあるほどの好物だったため、「ラーメンを食べつくした自分なら美味しいラーメンを作れる」と思い至ったそうです。

虎の中には、ラーメン事業で成功を収めた川原ひろしさんがいたことから、2人のやり取りが注目されたのですが、村野達郎さんは、志願者という立場にも関わらず、川原ひろしさんのラーメンを批判し、終始ふてぶてしい態度を見せ続けていました。

他の虎から「川原ひろしさんの社長で修行したら、資金を支払う」と提案されたことで、それに承諾した村野達郎さん。しかし、1回目から修行を無断欠勤したため、マネー不成立となりました。

自分勝手な言動でインパクトを残した村野達郎さんですが、その後は、自分でラーメン屋を経営することなく、消息不明となりました。

その後、「有吉ジャポン」に出演した村野達郎さんは、現在は、実母が所有するマンションの家賃収入で生活していることを公表しました。家賃収入は、月間20万円ほどとのことですが、趣味のテレビゲームに費やし、好きなものを食べ続けているため、諸金は一切ないようです。

元々早食いファイターとして活動していた時期もありましたが、それより以前は、子役タレントとして活動していたこともあったそうです。しかし、現在の姿からは、そのような活動を行っていた面影を一切感じることができませんね。

働かずに収入を得られるのは羨ましいことですが、村野達郎さんのような毎日を送りたい、という人は、あまりいないかもしれませんね。

西日本では好成績を残したこともあったボクサーの薩摩宣永さん。世界チャンピオンの名声を得るために、300万円の資金を求めてマネーの虎に出演しました。

ボクシングに対する熱く思いを素直に語り、4人もの社長から資金を獲得することに成功しました。その後、世界3位のボクシング選手と対戦しましたが、KO負けしてしまい、世界チャンピョンの夢は途絶えてしまいました。

試合に負けた後は、アメリカへ旅立って武者修行を続けたものの、自分自身の能力に限界を感じ、引退してしまいました。

しかし、現在は大手建設会社に務めているようで、安定した暮らしを送っている模様です。

マネーの虎には、芸能人を志望する人や、実際に芸能人だったという志願者も少なくはありませんでした。

アパレルショップを経営したという思いでマネーの虎に出演したという尾身和樹さんは、元ジャニーズJr.という異色の経歴で、自身の女性トラブルでジャニーズ事務所を解雇されてしまったそうです。

退所後は、ホストクラブに勤務するなど、ジャニーズとは思えない経歴の持ち主ですが、高橋がなりさんは、そんな元アイドルの尾身和樹さんに目をつけました。

男性向け成人ビデオメーカーの社長を務めていた高橋がなりさんは、元ジャニーズの役者がほしかったそうで、事業に失敗したらビデオに出演することを条件に資金を支払いました。

マネーの虎でプロモーションをしていた当時、詰めの甘さなどが指摘されていました。事業は必ず失敗すると、全員がそう断言していましたが、虎たちの言葉通り、アパレルショップの運営はうまくいかず、潰れてしまったそうです。

高橋がなりさんとは、失敗したらビデオ向けの役者デビューをすると約束していましたが、どういった経緯があったのかは不明ですが、デビューしておらず、最悪の展開だけは逃れた模様です。

情報によると、現在は元ジャニーズの仲間と共に、2店舗のバーを経営しているそうです。

下山征人さんは、F1レーサーの夢を叶えるためにマネーの虎に出演し、3000万円ものしきんを求めました。プレゼンテーションは順調に進み、理解を示す虎も多かったものの、希望額であった3000万円に届かず、ノーマネーでフィニッシュという結果でした。

マネーの虎に出演後、ひとりの虎から500万円を個人的に獲得することに成功し、F1レーサーになるためにイギリスへ旅立ちました。

結果、F1レーサーになることはできませんでしたが、そこから得た経験を元に、高級ブランド品を取り扱うディストリビューターに転身しています。

肩こり治療の専門店を空港で開業することが目的で、マネーの虎に出演した兼子ただしさん。プレゼンテーションでは、実際に効果があるストレッチを紹介したり、虎たちからも好意的な様子でした。

しかし、空港で開業する意味を理解できないとの理由で批判されてしまい、結果、ノーマネーでフィニッシュという結末を迎えました。

マネーの虎に出演後は、スポーツストレッチングトレーナーとして活動し、自身の会社を設立することに成功しました。店舗も複数展開しており、実業家としても成功を収めています。

また、YouTuberとして、自身のストレッチ方法なども公開しているので、肩こりに困った際は、兼子ただしさんの動画を視聴してみるといいでしょう。

タイの北部で広く食されているという料理、カオソーイをこよなく愛する岡田耕児さん。マネーの虎に出演したのは、自身でカオソーイ料理店を始めるための資金を獲得するためでした。

日本人の味覚では好き嫌いがバッサリ別れるタイ料理なのですが、無事資金を獲得することに成功しました。

現在は、カオソーイを含めたタイラーメンを、ワゴン車を使って移動販売しています。雑誌にも特集されているほどで、味の評価も高いようですね。インターネット販売も行っているので、誰でも気軽に購入することができます。

個性的な日本人男性が志願者として出演した一方で、外国籍の志願者も登場したことがあります。

トルコ出身の2人組の男性は、当時の日本では珍しかった、トルコ料理のケバブを気軽に食べられる店舗を設立するために1800万円もの資金を希望しました。

虎たちにとってもケバブ料理が珍しく、その場で試食した虎たちは、あまりの美味しさに絶賛していました。最終的に、3人もの虎から資金を獲得することに成功し、見事ケバブ料理店を開店させました。