『半沢直樹』とは、『オレたちバブル入行組』をはじめとする池井戸潤の小説シリーズで、TBS系列のテレビドラマ『日曜劇場 半沢直樹』として大きな反響を呼びました。

キャッチコピーは「クソ上司め、覚えていやがれ！」で、半沢の「倍返し」発言が本作を象徴する台詞として流行し、様々な媒体で使用されるなど流行し、2013年の流行語大賞を受賞しました。

理不尽な仕打ちに対する「倍返し」に、「見終わった後、スカッとした」と感想を述べる視聴者が多く、「必殺仕事人」によく似ていると評価する視聴者も多くいます。

また、堺雅人（半沢直樹役）や香川照之（大和田常務役）の顔芸緊迫感ある演技や、一度見たら忘れられないであろう片岡愛之助（黒崎国税局統括官役）や緋田康人（小木曽人事部次長役）の変人熱演ぶりが視聴者に強烈なインパクトを与えており、高視聴率につながっているとされています。

半沢の出向先、東京中央銀行の子会社・東京セントラル証券に舞い込んだ大型案件を親会社に横取りされ、東京中央銀行 証券営業部部長・伊佐山泰二（市川猿之助）のもとを怒り心頭で訪れた半沢は「やられたら、やり返す。倍返しだ！」と宣戦布告しました。

伊佐山は上司である大和田に反中野渡頭取派の筆頭である三笠副頭取に付き、「スパイラル」の買収を進めていることを告白し、中野渡頭取派の大和田は、部下であり、愛弟子の伊佐山に裏切られていたことが明らかになり、伊佐山を役員会議室に呼び出します。伊佐山はこの場所で大和田が半沢に不正を暴かれて、土下座させられたことで自分も泥水を飲むようなつらい目にあったことを吐露。怒りをむきだしにして、大和田に積年の思いをぶつけ、去り際に「土下座野郎！」と捨て台詞を吐きます。後にこのセリフはアドリブだったことがわかりました。

東京中央セントラル証券に検査に入った黒崎（片岡愛之助）は、社長室内のシュレッダーから問題の資料を発見します。復元されたら営業停止処分が下されてしまいますが、その前にやるべきことを部下の森山に電話で伝えます。その際に「森山、忘れるな。大事なのは感謝と恩返しだ。その2つを忘れた未来は、ただの独りよがりの絵空事だ。これまでの出会いと出来事に感謝をし、その恩返しのつもりで仕事をする。そうすれば、必ず明るい未来が拓けるはずだ」と言い残します。

半沢直樹は、政府直属の再建検討チーム「帝国航空タスクフォース」のリーダー・乃原正太（筒井道隆）に激しく反発したことから国土交通大臣・白井亜希子（江口のりこ）とともに東京中央銀行へ出向き、頭取に厳重注意するとともに、黒崎検査官（片岡愛之助）を送り込みます。金融庁による緊急ヒアリングで訪れた黒崎は半沢が担当者だとわかるとうれしそうに「ファイト満々よ！」と不敵の笑みを浮かべ、「何かがおこる」とファンに期待を抱かせました。

帝国航空の自力再建を進めているなか、半沢が作った再建案の草案が帝国航空内に流出するなど、スパイがいることに気づきます。そのスパイの正体が永田（山西惇）だと気づいた半沢は、永田が窮地に陥ると国会議員の兄・永田栄一（八十田勇一）に頼りがちな面を指摘。反論しようと近づいてきた永田に「あなたからは腐った肉の臭いがする」と語気を強めて言い放ち、このセリフが大きな反響を呼びました。

半沢に知らせることなく独自に箕部の周辺を調べていた黒崎（片岡愛之助）は、そのことがバレてしまい、金融庁の検査官の座を失うことになります。国税庁への移動を知って駆け付けた半沢に投げかけたセリフで、さらに半沢に箕部の秘密を探るヒントを託すあたりが、どこか哀愁漂う感じで多くの視聴者にインパクトを与えました。

箕部（柄本明）に振り込まれた不正な金のありかを探す半沢は、国税庁の黒崎（片岡愛之助）のもとへ行き、箕部に立てついたことなど顛末を話すと「ダメダメのダメザワ直樹ね」とあきれてしまいます。黒崎のオネエキャラが存分に発揮された名言です。

伊佐山（市川猿之助）から親会社の東京中央銀行が進めていた「電脳雑技集団」と「フォックス」の提携計画をつぶしたことで呼び出された半沢。半沢の出向先である子会社の東京セントラル証券が抱える案件を全て引き上げると脅し、謝罪を求めます。口パクで「わびろ」と一言。そして「聞こえない？　わびろ！　わびろ、わびろ、わびろ、わびろ、わびろ。わびろ、半沢～！」と合計8回の「わびろ」を連発して、半沢を恫喝します。このシーンはレイザーラモンRGによって物まねされるなど、その後も大きなインパクトを与えました。

伊佐山（市川猿之助）が仕組んだ、黒崎駿一（片岡愛之助）ら、証券取引等監視委員会による緊急立ち入り検査が行われた東京セントラル証券でしたが、半沢と森山雅弘（賀来賢人）の連携で営業停止処分寸前のところで危機を回避し、さらに瀕死のIT企業「フォックス」と東京中央銀行が狙う「スパイラル」の手を組ませる半沢の作戦が功を奏し、伊佐山の面目をつぶすことに成功しました。

しかし、伊佐山は三笠副頭取を味方につけ、膨大な資金力を持つ銀行の力を利用して反撃に転じ、東京中央銀行とともに「スパイラル」の買収を狙う「電脳雑技集団」への500億の追加融資で買収する計画を明かし、半沢に電話で「お前の負けぇーー！！」と大声で叫び、大きな反響を呼びました。

常務の紀本（段田安則）と進政党幹事長の箕部（柄本明）の不正に迫るという共通の目的があることから、大和田が半沢に共闘を持ち掛けるというシーンです。このシーンで半沢は「お願いするときの大切な7文字は？」と大和田に言いますが、これは以前、半沢が大和田に共闘を持ちかけたときに大和田から言われたセリフで、今回は逆に半沢が大和田に放ったセリフでした。それに対して大和田が「お願いします」ではなく「お…おねしゃす」と言ったことからネットでは大きな反響がありました。

黒崎検査官から箕部に対する不正の重要なヒントを託された半沢は、箕部（柄本明）、中野渡（北大路欣也）、大和田（香川照之）の会食に乗り込みましたが、決定的な証拠は箕部に渡ってしまった後でした。結局、箕部のペースにはまってしまい、大和田から馬乗りされながら「やれー！半沢ぁ！土下座をしろと言ってるんだ！」と恫喝されます。

この名シーンについてはネット上でも反響が凄まじく、箕部に対する怒りが視聴者の間で共有されることになりました。

大物政治家である箕部（柄本明）と中野渡頭取（北大路欣也）、大和田（香川照之）の会食に乗り込み、箕部から土下座を強要されるも拒み、最後には中野渡頭取から帝国航空再建担当から外されてしまう半沢。自宅で浮かない表情を浮かべる半沢に妻の花（上戸彩）が語り掛けた名言です。

「いっそのこと辞めちゃえば。もうがんばらなくていいよ。」半沢を優しく抱きしめながら「今までよく頑張ったね。お疲れ様。生きていればなんとかなる」という花のセリフに多くの男性が心をうたれました。