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14位:あなたが、いなかった、あなた(新潮文庫) Kindle版

627円

「あなたが、いなかった、あなた」は11編の短編を収録した短編集です。特筆すべきはこれら11編が全て実験的な作品であるということ。「あなたが、いなかった、あなた」に収録されている作品はその全てが今まで誰も読んだことがない斬新な手法と解釈で書かれた小説になります。たくさん本を読んできた方にも、今まであまり本を読んでこなかった方にも新しい世界を提示してくれる非常に画期的な作品集となっています。
古典的な小説を発表してこられた方だけに、斬新な趣向に溢れた短篇の数々が、とても新鮮です。著者・平野氏の文学的野心を想いました。「葬送」で、計らずも”カント”の”判断力批判”から”天才”を引用された著者、何か私には新しい文学的創造の天才の出現を目の当たりにしているのでは、と想わず考えてしまいました。(ちょっと褒めすぎかな?)短篇の中には、以前に文芸雑誌で拝見させて頂いた作品もありましたが、今改めて通読してみますと、作品の中には、かつて芥川賞選考委員を務められた日野啓三氏の、どこか哲学チックで妖しく謎めいた小説の雰囲気にも似ているなぁと、感じたりもしました。

 特に印象深かった作品の中から、「やがて光源のない澄んだ・・・」、東京でのありふれた日常が営まれる影で(とは言え、この東京での時間の経過にも何処と無く妖しい影が潜んでいるかのよう)、巨大津波によるまさに一瞬の恐るべき壮大な悲劇が同時進行しているように感じられました。最初こそ、本文の読みが妨げられるような不快な印象を持つものの、読み進めると、東京での日常(そこに暮らす主人公にある日突然落ちる砂が、別世界で同時進行する悲劇をこっそり教えてくれるかのよう)と、巨大津波の一瞬の恐怖が、同時に立体的に浮かびあがってきます。多分、著者の意図する事を私自身も少しは感じ取ることが出来たのではと想います。

 「母と子」の、ちょっとした人生の選択の結果、その先を流れる時間に様々な可能性があり得る、しかも全てが実際は同時に進行している可能性があるかのような、私自身、この我々が存在する宇宙と時間の関係に想いが及び、何か、ちょっとした眩暈のようなものを憶えました。

13位:生きる理由を探してる人へ (角川新書) 新書 – 2016/10/10

880円

「生きる理由を探してる人へ」は小説家平野啓一郎さんと芸人であるダイノジ大谷ノブ彦さんの対談をまとめた作品です。自殺や死をテーマに、「自殺=悪」という決めつけによって遺族を苦しめることがあるということ、それでも自殺はしないほうがいいという根底のもと、現状からの脱出と違うかたちで生きる道の提示などを真剣に議論した内容になっています。
平野さん中心の本かと思いきや、大谷さんも自分の思いをかなり話していて、
芸人としての印象しかなかったのでこの本でイメージがかなり変わりました。
私はもともと平野さんの「分人主義」という考え方が大好きです。
そして「マチネの終わりに」という小説の中にもでてきた「未来は過去を変えてくれる」という言葉にも大きく心を動かされました。
今回のこの本の中でも、この2つは大きなキーワードとなっています。
私は自殺だの「生きる理由」だのは考えたことはないけど、でも対人関係や現状に疲れちゃうことは日々あって、
そんな小さな生きにくさにもこの本は大いに支えになるような気がします。

星が4つなのは、たぶん平野さんは小沢健二を誤解しているから。
渋谷系だのなんだのと言われ、王子様みたいに女の子達からキャーキャーいわれてたあのイメージしかないのでは?
平野啓一郎も小沢健二も「私の哲学」を作り上げる上でとても重要な人物です。
だから平野さんに小沢健二を誤解されているのは悲しい・・・。
平野さんお願いします。歌詞、ちゃんと読んでみてください・・・。

12位:かたちだけの愛 (中公文庫) 文庫 – 2013/9/21

902円

「かたちだけの愛」は事故で片足を失った女優とその義足を作るデザイナーが心を通わせていく過程に出てくる絶望や誤解などを通し、やがて彼らがたどり着く愛のかたちを描いた作品です。恋愛小説なので比較的読みやすい作品となっており初めて平野啓一郎さんの作品を読む方にもおすすめです。また、恋愛小説が好きという方はもちろん、単純な恋愛小説では物足りないという方にもおすすめの作品です。
平野啓一郎作品は難解なイメージがどうしてもつきまといますが、本作は非常に読みやすい小説だと感じました。本作品の主人公たちは30代後半位で、過去には苦い恋愛経験者。その主人公たちが、人を想う気持ちを通して自分を見つめ、それぞれの成長する様子が描かれ、「人を愛するとは、かたちではなく、相手を想う自分をも好きだと感じられることだ」という平野啓一郎のひとつの回答が示されていることに共感を覚えます。ありがちな恋愛小説とはまた違い、平野啓一郎ならではの恋愛小説風作品であり、「本当の自分とは?」「本当の愛とは?」等々、「愛」を小説のテーマにしながら、その「愛」を通して自分を見つめ直すことを深く考えさせられる作品だと思いました。

11位:透明な迷宮 (新潮文庫) 文庫 – 2016/12/23

572円

「透明な迷宮」は姉妹をモチーフに奇異な設定が特徴で、その中でもがく人間模様を鮮やかに描いた6つの短編を収録した短編集です。平野啓一郎さんらしい作品ばかり収録されているので、初めて平野啓一郎さんの作品を読むにあたり、どんな文章なのか、どんな作風なのかを知りたいという方にも最適です。孤独な現代人の悲喜劇を官能的な筆致で描いた傑作ばかりを収録しており、評価の高い1冊になっています。
短編2編+表題作「透明な迷宮」など中編4編の作品集です。平野さんが「ドーン」や「空白を満たしなさい」などで提唱している分人主義的な考えは本作にももちろん反映されています。また愛とは何なのかをそれぞれの作品でキーワードにしていると思うのですが、いったい人は何を好きになるのか・・・、愛するということは相手の存在(精神)なのか、それとも2人が共有した経験(出来事)なのか。分人主義とうたってませんがわかりやすく生かされています。また別の作品では愛と孤独……、家族愛なども描かれ、複雑で様々な人間関係や家族というものをしばらく考えさせてくれる、とても読後感の素敵な作品でした。

平野啓一郎作品人気おすすめランキングTOP10~6

10位:高瀬川 (講談社文庫) 文庫 – 2006/10/14

660円

「高瀬川」は芥川賞作家が艶やかに一夜の「性」と「生」を描いた清冽で美しい言葉の流れを楽しむことができる名作です。収録されている短編は全部で4作。表題である「高瀬川」は小説家と女性編集者が過ごす京都の一夜を細やかな心理主義的な技法で描くことで現代の「性」を独自の観点で見つめた内容になっています。そのほか、「氷塊」「清水」などが収録されています。
『高瀬川』にはいくつかの作品がありますが、
私はやっぱり表題作の「高瀬川」が一番好き。
大野と裕美子がラブホテルの室内でお互いを気づいながら交わす会話。
この何気なく良い意味で普通っぽい会話に読者は親近感を持つはず。
さらに女性読者ならは主人公大野の優しさと繊細さに感動するはず。
物語の後半には、前半の激しい性描写と同じ比重で
シリアスなエピソードが用意されていて、物語に引っぱりこまれます。
この本を読んだあと『日蝕』『一月物語』も併せて読みました。
もしかして、平野啓一郎さんの作品が「難解」というのは
思い込みだったかも・・・・・。
そんな思いを抱くきっかけになった『高瀬川』でした。

9位:葬送 第一部(上) (新潮文庫) 文庫 – 2005/7/28

605円

「葬送」は2上下巻に分かれている長編作品です。舞台は19世紀パリの社交界。音楽家のショパン、画家のドラクロワ、小説家のジョルジュ・サンドといった時代の転換点に生きた芸術家たちの苦悩や創造における歓喜に迫った名作です。完成まで実に3年以上もの歳月を費やしたことからも平野啓一郎さんがどれほどこの作品に力を入れていたのかを知ることができます。本格歴史小説が好きな方におすすめです。
芥川賞の(日蝕)を前に読んだことがあり
あまりに難しく今度も期待していませんでしたが、
ショパンの生まれ故郷のポーランドで生家を見学したり
ショパンショパンコンクールに行ったりと、とてもショパンには関心がありました。
平野啓一郎さんのこの作品はとても素晴らしい出来栄えで
感激し、妹にも是非読むようにと貸してあげました。

8位:文明の憂鬱(新潮文庫) Kindle版

594円

「文明の憂鬱」はAIBO、皇太子妃ご懐妊報道、略字体、口蹄疫、ピッキング、大リーグ、臓器移植、世界同時多発テロ、加工食品など、私たちの日常を取り囲むものや技術、現象、情報など、そうした文明のちっぽけな文明のしっぽから巨大な憂鬱が見えるという明晰な論理で日常に潜む欺瞞を見抜いたエッセイ集です。
臓器移植についての知的な見解が印象的であった。しかし、私は、この本の内容というよりも寧ろ文体に生理的恍惚感を感じた。それはなぜかと聞かれても、オルガスム的な問題なので、合理的に答える事はできないのだが。

7位:決壊(上) (新潮文庫) 文庫 – 2011/5/28

781円

地方都市で妻子と平凡に暮らすサラリーマン沢野良介は東京に住むエリート公務員の兄と自分の人生を比べ、違和感をネットの匿名日記に残しています。一方いじめに苦しむ中学生の北崎友哉は殺人の妄想を膨らませています。そんなある日、良介は忽然と姿を消します。無関係な二つの人生が不可思議に交差する衝撃の作品です。
想像や未来の予知などと言うよりは、明らかに現状を写実したものに近い。初めに素晴らしいと言ったように私自身はこの事を高く評価したいが、それでも同時にこの小説に欠点があるとすればその写実性になるだろうとも言わねばならないと思う。つまりそれは写実以上のものではない、現代日本に蔓延する病理とそれに対して実際にある悲鳴や批判、戸惑いやさらには共感、支持など、そういう実際にあるものだけをよく描いた、という「だけ」という言い方も恐らく全くの不可能ではないだろう、という事だ。その場合、本作の極めて優れた長所や意義はそのままケチをつける理由にもなる。実際本作で語られることは極めて切実で我々の身に、いや心に迫ってくるが、「なぜ人を殺してはいけないか」という問いを初めとして、どれもこれも殆どがどこかで聞いた事ある事ばかりである。小難しい言葉で飾られた思想のごときものも実質は同じであり、結局のところそれは今の時代の状況、現代人の抱える思いや言葉を代弁し語り、時代精神をそのまま描いただけなのである。本作のそういう時代精神・時代状況の写実は専ら殺人事件や犯罪をめぐる諸問題や諸言説を対象としている。責任能力や精神病の問題から警察の取調べの問題まで現代日本で騒がれる犯罪関係、法律関係のあらゆる問題が本作内には凝縮され扱われていると言えよう。それは私としては高く評価できる極めて意義ある事に思えた。

6位:私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 新書 – 2012/9/14

814円

「私とは何か――「個人」から「分人」へ」は自分が自分らしく生きるという目標のために、状況や人間関係などの環境に合わせて存在している自分自身、「分人」という概念を用いていくことを説いたエッセイ集です。平野啓一郎さんの作品を掘り下げるという意味でも非常に有用な1冊なので、より深く作品を知りたいという方に適しています。
たった一つの「本当の自分」など存在しない。裏返して言うならば、対人関係ごとに見せる複数の顔が、すべて「本当の自分」である。(まえがきより)
筆者は”分人”という言葉を使い、”個人”について説明している。
私が特に面白いと感じたのは、第4章(愛すること・死ぬこと)です。その中で、印象に残ったセンテンスを紹介します。
・愛とは、「その人といるときの自分の分人が好き」という状態のことである。
・今付き合っている相手が、本当に好きなのかどうか、わからなくなった時には、逆にこう考えてみるべきである。その人と一緒にいる時なの自分が好きかどうか?
・人間とは、他者なしでは、新しい自分になれない。

平野啓一郎作品人気おすすめランキングTOP5~1

5位:ある男 Kindle版

1,386円

弁護士の城戸はかつて依頼者であった里枝から「ある男」についての相談を受けます。里枝は2歳の次男を脳腫瘍で失い、夫と分かれて宮崎に暮らしていましたが「大祐」という男と結婚し、子どもも生まれ幸せに暮らしていました。しかし「大祐」は事故でこの世を去ってしまいます。悲しみに暮れる一家でしたが実は「大祐」が全くの別人であるという事実がもたらされ、彼女は城戸を頼ったのです。人がなぜ人を愛するのか、「大祐」の人生を探っていく家庭で、人間存在の根源とこの世界の真実に触れることができる文学作品です。
芥川賞作家の文学作品でありながら、松本清張『砂の器』あるいは宮部みゆき『火車』のように、
謎の人物を追いかけていくことで同時代の問題意識を浮き彫りにさせる、社会派ミステリの側面を
兼ね備えた良作。平野啓一郎の筆は、弁護士と妻の関係、調査対象者との間に生じる共感や距離感
など、繊細なひだに分け入っていく思索の場面でこそ恐ろしいほど冴え渡り、象徴的でありかつ
日常的であったりする場面のさりげない書き方がべらぼうに巧い。
在日三世であることと、調査対象の抱えた過去というのは、また別ベクトルの問題であると思うので、
この点はいくらかもやもやするところもあったけれど、とはいえ、偏狭な民族意識や差別感情の
あふれる現代に「暮らしながら」「悩みつづける」私たちが読んでおくべき逸品であると思う。

4位:空白を満たしなさい(上) (講談社文庫) 文庫 – 2015/11/13

748円

ある夜、勤務先の会議室で目覚めた土屋徹生はそのまま帰宅するも妻に「あなたは3年前に死んだ」と告げられます。しかも死因は自殺。徹生としては家庭も仕事も順風満帆だったのに自殺する理由がないと考え殺人を疑います。そして浮かび上がる犯人の記憶とは―。死者が生き返ってくるという世界を非常にリアルに描くことで現代の「自己」の存在危機と「幸福」の意味を追求した感動作です。
著者「マチネの終わりに」に感銘を受けてこの作品に手を出しました。恥ずかしながら短期間で本を読破した経験がありませんでしたが、内容に強く惹かれ、短期間で上下巻共に読み終えました。そのくらい魅力があると感じました。

3位:ドーン (講談社文庫) 文庫 – 2012/5/15

1,100円

6位でご紹介した「私とは何か――「個人」から「分人」へ」の「分人」という概念が根底にある作品としておすすめしたいのがこの「ドーン」です。人類初の火星探査に成功し、一躍ヒーローとなった宇宙飛行士の佐野明日人。しかし、闇に葬られたはずの稼いでの出来事をきっかけに大スキャンダルになってしまいます。矛盾を孕みながら突き進んでいく世界に「分人」という概念を提唱し、人間の本当の希望を問う名作です。
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