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愛らしい夏子と、仇討ちの熊を追う青年のキャラも魅力的ですが、脇役のユーモラスな三人婆のキャラが笑えました。
村の少女に嫉妬する夏子の微妙な心理の描き方も秀逸でした。

11位:美徳のよろめき (新潮文庫) 文庫 – 1960/11/8

497円

「美徳のよろめき」は映画化もされている長編小説です。テーマとしては人妻の姦通という一種俗っぽい内容で、この作品により三島作品は大衆読者を多く獲得したと言われています。フランスの心理小説の趣を生かした文体を採用しており、不倫を題材としながらもその美しい日本語はヒロインを聖女的に描いています。三島由紀夫らしい作品として人気の高い1冊です。
 ニーチェの影響を大きく受けた三島の<哲学>を考慮すれば本作を彼の最高傑作と言うことは出来ませんが、それでも本作が傑作であることには何ら疑問の余地はありません。ただし、本作で描かれている物語は決して三島のオリジナルではなく、彼と同じくニーチェの影響を受けた精神病理学者Wilhelm Stekel,M.Dが<不感症>問題を扱った著書で報告した症例が元になっているのです。それを<芸術>のレベルまでに高めることに成功したのは日本では三島だけであったという事実も彼の天才ぶりを証明していると思います。

三島由紀夫作品おすすめランキングTOP10~6

10位:青の時代 (新潮文庫) 文庫 – 1971/7/27

497円

「青の時代」は戦後の世間を賑わした光クラブの社長の、自殺に至るまでの波乱に満ちた生涯を題材に、自己反省癖と自意識過剰が渦巻く、異様で孤独な青春を描いたシニシズムに満ちた作品です。青春の屈折、終わりの空気感といった「青春もの」ならではの空気感のある作品ながら、三島由紀夫本品が失敗作、と言っているためか一般の評価としても高くない傾向にあります。しかし青春作品が好きな方にはおすすめだと思います。
とても読みやすいし、
実話を元にしているという点において興味がひかれるため、
最後まで一気に読めてしまう作品です。

ただ著者は主人公の人間性にこそ興味があるようで、
光クラブという貸金会社がどうやって儲けて、
どうやって破綻していったのか、
そこら辺の詳しいところはほとんど書かれていません。

東大生が会社を起して、しかもそれがたいへん上手くいって
大きな利益を出した。
現在ではそれほど珍しいことではないとは思うのですが、
当時としてはものすごく画期的な出来事だったのかなあ、
と思います。そしてまたその結末も。

三島由紀夫というと、いかにも文学者という感じで、
その文章はとても美しく、小説の構成も完璧である、
という印象があるのですが、本作に関しての評価は
あまり芳しくないようで、著者自身も本作に関しては
いろいろと後悔があるようです。

9位:不道徳教育講座 (角川文庫) 文庫 – 1967/11/17

691円

井原西鶴の「本朝二十不孝」にならい、逆説的な道徳を説いた作品が「不道徳教育講座」です。ウソやいじめなどの悪徳を奨励し、内的欲求を素直に表現することにより近代分社会において失われつつある健全な精神を取り戻さんとする作品です。悪い気持ちを抑えて抑制するのではなく、煽ることで沈めるという人間心理に基づいた作品になっています。
日常的な瑣末な事柄や人間が持つ偽善的な部分、或いは男女間におけることなどを独自の視点で書かれたエッセイです。
不道徳という言葉が入っていますが、各タイトルを読んでいくと最後は道徳的なところまで持っていくのはさすがです。
ウェットにとんだ作品で現代の日本の諸問題にも充分通じるものがあると思います。
三島由紀夫という作家がいかに高い知性と教養を持っていたかがわかります。

8位:女神 (新潮文庫) 文庫 – 2002/11

637円

三島由紀夫作品を初めて読む方におすすめしたいのが「女神」です。元々三島作品は独特の美しさがありますが、この作品はその美しさを分かりやすく表現した作品で、三島由紀夫の魅力を感じられる作品になっています。男性の求める神格化した女性の美を追い求めた非常に美しい文章です。三島由紀夫だからこそ表現できる美しさに興味がある方はぜひ読んでみてください。
美を愛でるためには、対象となるものを作り出し、かつその美を賞賛するための審美眼を持たなければなりません。
人は生まれ、恋をし、伴侶を得て子を産み育て、そして老い死んで行く中で、その仕組み作りと実践を続けていく残酷な運命を課されています。

主体的に美を創造するのか、美しいものに出会うための準備をするのかは、それぞれの人によって異なるのでしょうが、三島由紀夫さんのこの作品における立場は創造者の立場に他ならず、完全主義的な芸術家としての立場を明快にしています。

美というものへの接近と創造行為。エッセンシャルと言って良い作品でした。

7位:豊饒の海 第一巻 春の雪 (新潮文庫) 文庫 – 2002/10

767円

26位でご紹介した「豊饒の海」の第一巻がこの「春の雪」です。三島由紀夫が生涯をかけて執筆した作品という意味を抜いても非常に美しい作品で、とくにこの「春の雪」は恋愛小説としてものめり込んで読むことのできる作品になっています。日本語の美しさを感じられる点もおすすめポイントです。
知識がついて勉強した事が文の端々にちりばめられた言葉に今更ながら天才の作家を感じる。
作者の原作ノートにはびっしりと研究した後があるのだろうと思いながら滑るように進む話の展開に今更ながら
素晴らしい本からスタートしたなあと思います。大学時代は漱石と三島由紀夫だけ特に貪るように読んでいました。勉強する時間よりも環境が悪かった分を取り戻すにはこの作家には感謝。リアルタイムで亡くなった時のことを鮮明におぼえているけれど子供心に何をしているのか何故なのかわからなかったが天才には色々と見えていたんだな。大学時代一緒に勉強していた先輩のお医者さんには一文一文意味がある。後でわかるよと言っていたが。蒙昧な時代だったからなあ。

6位:午後の曳航 (新潮文庫) ペーパーバック – 1968/7/15

497円

「午後の曳航」も海外評価の高い作品です。英雄としての父が俗物になることを許せず、父を殺すことで「自分たちの未来の姿」を死刑に処すことで大人の世界に反撃せんとする少年たちの思想的な狂気を艶やかなまでに描いています。三島由紀夫ファンの間でも人気の高い作品の1つです。また、三島由紀夫の父という存在に対する感情の向かい方を窺い知ることができる点も、三島由紀夫個人に興味のある方にとっては気になる部分なのではないでしょうか。
 健全な文壇で評価されなかったこの作品を、渋沢龍彦のみが絶賛した。サドの研究者だった彼だから健全な文壇と全く違う評価を与えたのだろうと思う。渋沢の心眼は、この作品を書いた三島とともに素晴らしいと思う。この作品は、大人の常識では計り知れない少年たちの世界の秩序を描いている。悪魔的なこの少年の秩序は、義理父が英雄でないことに冷酷に裁きを下す。英雄ではない、すなわち死だ、という観念は、晩年の三島由紀夫を象徴しているかのようだ。覗き穴からのぞいた母と男の情交から始まるこの作品は、悪魔的な美しさがある。

三島由紀夫作品おすすめランキングTOP5~1

5位:仮面の告白 (新潮文庫) 文庫 – 2003/6

562円

文学的な挑戦、自身の性的倒錯の告白。「仮面の告白」は評論家や読者にそのように言われている作品です。自伝的な要素を持っていると言われていますが、この点についてはここでは重要ではありません。この作品は三島由紀夫が24歳のときに書いた作品です。しかし、圧倒的な技術力を有し、美しい文章、構築力、とにかく圧巻される作品となっています。彼の才能を知る上で「仮面の告白」はこれ以上ないほど最適な作品と言えるでしょう。
 日本文学研究者のドナルド・キーンはノーベル文学賞の候補に川端康成ではなく三島由紀夫を推していたそうだ。歴史に「もし」はないというが、もし三島が自決せずに、もしノーベル文学賞を受賞していたら、日本文学界の景色はかなり変わっていただろう。この作品は三島の最初の長編書き下ろし作品だという。

 先日平野啓一郎の『日蝕』を読んで、彼が「三島由紀夫の再来」と言われているのを見て、しばらく三島を読んでいないと思いこれを引っ張り出した。

 三島はこの小説でフィクションを書くと言っていたそうだが、この「仮面」の裏側にあるのは三島自身であり、それは自画像ではないかと言われる。『仮面の告白』というタイトルが言うとおり、三島自身の自伝であるという論に賛成したい。

 全体を通して一貫していることは、異性に対してではなく同性に心を動かされていたということだ。終いには自分でも恋していると思っていた園子さえ避けてしまった。女性に対して興味を持てなかったことを告白している。今でこそ芸能人などがカミング・アウトする姿が報道されるなどしてあまり違和感がなくなってきたが、当時は恐らくかなりセンセーショナルな話題であったのだろう。『仮面の告白』というタイトルがあまりに相応しく思えてくる。

4位:葉隠入門 (新潮文庫) 文庫 – 1983/4

497円

「葉隠入門」という本を知らなくても「武士道というは、死ぬ事と見つけたり」という一文に聞き覚えのある方は多いのではないでしょうか。「葉隠」は山本常朝が武士たちに、武士道における覚悟について説いたものです。この作品はその「葉隠」を三島由紀夫の人生論、死生観などを交えながら作品として、現代武士道の魅力を説いたものになっています。三島由紀夫の哲学や死生観に惹かれる方におすすめの1冊です。
「葉隠」は「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」という一文が有名。
戦時中は、その一文が軍人の心得のように(曲解して)使われた。

著者三島由紀夫は、「葉隠」を座右の一冊として愛読し、最後は自衛隊の
市ヶ谷駐屯所で自衛隊員に決起を促し、衝撃の割腹自殺をした天才作家。
恐らく生き長らえていればノーベル文学賞を受賞していたろう。

というと、とんでもない狂信的・右翼的書物に思えますが、そもそも「葉隠」
が死を勧めたり美化する意図が全くなく、「葉隠」を自らの「軟弱な作家人生(三島本人の解釈)」
と重ね合わせる三島由紀夫の苦悩など、多面的な読み方の出来る極めて良質
な人生訓。

処世を考えるのであれば、つまらないハウツーやノウハウ本的な書物を沢山読むより、
この薄い本を1冊読んではいかがでしょうか。

3位:花ざかりの森・憂国―自選短編集 (新潮文庫) 文庫 – 1968/9/17

594円

「花ざかりの森・憂国―自選短編集」はその名のとおり、三島由紀夫自信が集め、解説を施した短編集で、16歳で書いた小説である「花ざかりの森」を始め、三島由紀夫が大切にしたテーマ、問題を文学的技法で描いた作品たちが並んでいます。三島由紀夫作品の文章の美しさ、思想に触れたいのであればこの作品を読むのがおすすめです。
「花ざかりの森」の最後、三島は「独楽の澄むような静謐」と言った。勢いよく放たれた独楽の回転が極まると、不意に音が消えて模様が静止したり、ゆっくりと逆回転したりする。この作品で描いた人生や結縁は、そのような静謐だ、というのだ。
映画「インセプション」では、独楽が永遠に回り続ければ夢の中、倒れれば現実だが、さて、三島の独楽はどちらだろう?
或いは、この「戦時中」の作品は南国が出てくるのが象徴的だ。日本人は当時、南方に対して一種の「懐かしさ」「異国趣味の郷愁」「憧れ」を抱いていたのではないか。本国へ帰って来た出征者は、あの南方戦線のことを己が一度きりの青春と同一視し、独楽が回り続ける夢として心にしまったままなのではないだろうか?独楽が倒れた瞬間、過酷な現実の前に自分が壊れてしまうから。
甲子園と戦争の相似
遠征は出征。坊主頭とユニフォームは日本兵の身なり。スリーアウトは犠牲を払いながら進軍。朝日新聞優勝旗は旭日旗。監督は上官。アルプス女子は本土の妻子。泣きながら土集めは戦地の遺骨拾い。夏は終戦記念日。プロ入りは靖国の英霊入り。国民の心をかく熱狂させる。

2位:金閣寺 (新潮文庫) 文庫 – 2003/5

680円

三島文学というものを確立させたと言われ、非常に高い評価を得ている作品が「金閣寺」です。昭和25年に実際に起きた金閣寺焼失事件を題材に、放火犯である僧侶の破滅までの過程を抉った、不朽の名作です。今までの三島由紀夫の文章体よりも力強く書かれており、非常に人気のある作品なので、ぜひ読んで欲しい作品の1つです。
 思っていたほどの華々しさはなく、主人公の心理描写が微に入り細に入り書かれていて、解釈するために行きつ戻りつしながら少しずつ読んだ。理論的、哲学的ともいえる独白の、知的文体に流されやすい私はすっかり感化されてしまって、理屈っぽい思考の組み立てを、だれかに偉そうに口走ってみたくなる気持ちだ。自棄的なところは太宰治の雰囲気に似ている気もするが、たぶんその影響はどこかであるのではないか。
 これを読むと小説は構成された物語ではなく、心とか魂とか、美とか醜さとか、そのようなもので形作られた芸術作品ではないかという気がする。これが名作と呼べるインパクトがあるかどうか私には判らないが、なにか時間とともに文体がジワジワと脳内に染みこんでくる呪術のような怖さがある。主人公にとって金閣は憬れなのか嫉妬なのか、絶対性なのか暴力的なのか、美とはなにか。そこまで引きずった難解さはラストの反転でまた私を困惑させる。こういう小説を書ける人物は常人ではないような気がする。

1位:潮騒 (新潮文庫) 文庫 – 2005/10

497円

「潮騒」は度々映画化もされている作品であり、三島作品の中でも非常に高い知名度を誇る作品の1つです。文明から隔たれた孤島で恋に落ちるたくましい漁夫と美しい少女の物語となっています。テーマとしては素朴な純愛ながらも、美しい自然や繊細な心模様を流麗な文章で描ききっており、三島由紀夫の素晴らしさをいかんなく発揮した作品となっています。
三島作品の中にあっては異質なものなんだけれど、とても清楚で美しい作品です。主人公のまっすぐな心、生き様には心洗われる思いがします。是非今の若い世代の人に読んでもらいたいし、必要な部分なんだろうけど、理解されないかも、、、。島に生まれ、育ち、外部との接触が少ない空間に身を置き、刺激も少ない狭い世の中で生きる人間だからこそ、身近なものを大切に思い、身近なものに心を通わす、そんな質素なかつ生に対して素直な生き方に感動します。
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