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23位:近代能楽集 (新潮文庫) 文庫 – 1968/3/27

562円

国内のみならず、海外からも高い評価を得ているのがこの「近代能楽集」です。その名の通り、能の謡曲を近代劇として翻案したもので、写実的に描く近代演劇とは趣が異なり、独自の完成で前衛的かつ抽象的に描いたものになっています。どこかシニカルな雰囲気もあり、三島由紀夫らしい雰囲気を好む方には好まれている1冊です。頭のなかで映像をしっかりと浮かべながら読まなければ分かりにくい部分もあり、しっかりと読む派の方におすすめです。
 三島由紀夫の作品は過去に何冊も読んだが、この作品が一番面白く、今回久しぶりに読み返えしてみて、また新たな感動が沸いてきた。

 シュールな戯曲で、人生の機微や男女の心理を、三島由紀夫独特の冷淡でシニカルなせりふの中に描写している。

 能楽という手法で、時間と空間を凝縮し、一編の作品のなかに中篇の一小説分のエッセンスが詰まっている。また、どの作品も結末が鮮やかでしばらく余韻が残るが、後味は悪くない。

 何度も読みたい本なんて、そうざらにない。お勧めです。

22位:文化防衛論 (ちくま文庫) 文庫 – 2006/11/1

842円

「文化防衛論」は学生運動がピークな昭和40年代前半に発表された評論です。刊行当時、各界の議論を呼んだ話題作になっています。戦後文化が爛熟した時期にあえて「天皇」に触れ、文化概念としての天皇という意義や、日本文化の国民的特色など独自の視点で鋭く論じています。日本人としての矜持が失われつつある現代日本において、日本人が守るべきアイデンティティを改めて考えさせられる作品です。
この”文化防衛論”は、高校生のころ、1970年代半ばに一度読んだことがある作品ですが、当時はこの作品自体は、なかなか理解ができなかった作品です。当然でしょう。それくらい密度の濃い作品です。そして、現代日本の姿を1960年代後半に見てしまった著者の絶望感は、決して同時代的な理解を得ることは不可能です。どういう風の吹き回しでしょうか、それとも天邪鬼的な意図なのでしょうか、今週のロンドンへの出張にあわせて持っていくはめになってしまいました。朝、出社前にシティのCAFEでコーヒーを飲みながらページをめくってみましたが、驚きました。これは実は読むのではなく、声を出して音読する作品なんですね。そう思わせるくらいリズムと論理の展開が的確な言葉の選択とマッチしているのです。たしかに部分的には時代の刻印を帯びていますが、ここで著者の提示した論点は、あまりにもリアルなものです。はたしてこのような三島の言説が外国語に翻訳されうるものなのか?それは疑問です。しかし1960年代後半の争点は今も変わらないままで争点として残り続けているわけです。そしてこのような作品に対して言葉でのコメントなりレヴューはいかほどの意味があるのでしょうか?

21位:英霊の聲 オリジナル版 (河出文庫) 文庫 – 2005/10/5

756円

「英霊の聲」は二・二六事件で銃殺に処された青年将校、神風となり死んだ特攻隊員の霊が魂の復権を目指す、という内容の短編小説です。この作品も非常に物議をかもした、ある種の問題作の扱いを受けています。天皇批判の問題作と言われ、イデオロギー小説かはたまた芸術小説かと言われた作品ですが、三島由紀夫だからこそ書くことのできた作品であると言えるでしょう。この作品もまた、三島由紀夫の生涯を語る上で重要なポジションにある作品で、思想に触れることのできる1冊です。
憂国の武山中尉の切腹場面の描写は、すごいですね。「5、6寸あらわれた刃先はすっかり肉に埋まって、拳が握っている布がじかに腹に接していた。・・恐ろしい激痛が湧き出してくる・・」(P102)。三島先生は1970年11月25日、市ヶ谷の自衛隊で「自死」される数年まえから、本書以外にも、「葉隠入門」「文化防衛論」「行動学入門」などをお書きになりました。私は、1、国家と個人。2、人間の生と死、が語られていると思います。1は、三島先生の天皇観。2は、三島先生の「葉隠」に書かれた生死観。ご自身の愛読書、葉隠で説く「毎日、死を意識の表面に連れ出すことにより、生が光輝く」と、「知行合一=頭の考えは実行しないと意味がない」(陽明学)。のお考えで45歳で「割腹」されました。先生の残された「メッセージ」は令和の今を生きる多くの日本人への課題と思います。

三島由紀夫作品おすすめランキングTOP20~16

20位:美しい星 (新潮文庫) 文庫 – 2003/9

680円

「美しい星」は、自分たちはそれぞれ他の天体から飛来した宇宙人であるという意識に目覚めた一家を中心に、人類滅亡の不安を描いた三島由紀夫としては珍しいSFテイストな作品です。ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を意識したと創作ノートにあり、三島由紀夫本人も非常に強い愛着を持っていた作品だと言われています。SFテイストでありながら、三島由紀夫らしさはしっかりと感じられる作品です。
三島の小説の中で一番好きです。

宇宙人と称することで三島の視点から人間という生き物についてのびのびと語られており、
人間のしょうもなさと強さを認識できる大傑作だと思います。

一部、昨今の原発問題とも非常に重なります。
50年も前にこんな視点で地球を憂いていたなんて!
浅はかな人間がしぶとく生きている未来も天才には隅々まで見えていた!
SF的な存在は三島自身であると確信する1冊です。

19位:殉教 (新潮文庫) 文庫 – 2004/7

680円

「殉教」はロマネスクな世界への憧憬と日常世界との関係を抽象的に描き、現代における機種流離や異類の孤立などを深く追求した作品を集めた短編集です。子どもから大人へと成長していく精神の軌跡や倒錯した性と肉体的嗜虐を描いた作品など、9編を収めた作品集となっており、読み応えのある1冊になっています。短編ではありますが、三島由紀夫らしい言葉のセンスや独特の世界観をしっかりと味わうことのできるので、初めて読む方にもおすめです。
神たる存在ははたして何ものぞ?
世に苦しみと救いがあるとすれば、神の意思はそれらにすべてひとしく作用するというのか。
深い。。犠牲の上に成り立つ明日が正義かと言えば、おそらくそれは曲解といえるものだろう。

18位:若きサムライのために (文春文庫) 文庫 – 1996/11/10

551円

若者よ、高貴なる野蛮人たれ!「若きサムライのために」は平和ボケや現状肯定などの日和見を苛烈なまでに排し、日本を、文化を、生き方を問いかけている評論、随筆です。学生運動が盛んだった時代、変わりゆく日本の価値観に対し、武士という男の心得、芸術、政治など、社会のあらゆることを様々な角度で説いた1冊です。時事エッセイですが、現代の価値観に照らして読むと新たな発見があるのではないでしょうか。
正直、斬れ味がよろしい。これが三島由紀夫か…と大きな壁となり立ちはだかる。
綿密で日本的で最高峰の思想の潮流に呑み込まれ、あれよあれよという間に帰り道が分からぬ断崖絶壁に立たされる。
自分が文弱の徒であったと突きつけられ、間違いだらけであると罵られる。
過激なことを除けば、概ね賛成の著者の考え方に胸を打たれる。

17位:沈める滝 (新潮文庫) 文庫 – 2004/4

562円

「沈める滝」は既成の愛を信じないダム設計技師の男が不感症の人妻と人工の愛の創造を試みる、三島文学を堪能できる長編小説です。ダム建設を背景にした恋愛の心理の変化を軸としながら、ただの恋愛小説では終わらず、芸術と愛情の関連や技術者の情熱などを暗喩して描いています。やがてダムにより沈む小さな滝を女で象徴する筆致はさすが天才と唸るような仕上がりになっています。
ダム工事建設現場で冬を越すことは、他の世界と遮断して観念的世界を育む。昇が人工的な愛を築くのに相応しいシチュエーションではあるが、そこはダムという無機的なものを同時に築こうとする皮肉的場所でもある。

無機的なものは何も反応しない。それは苦悩や絶望などに応えてくれないのだ。しかしながら、そのような悲哀と共に愛は共存しないのか。例えば誰かのことを好きになったとき、そして好きだということが相手に知られたとき、相手が自分に何らかの反応を示した瞬間にそのような悲哀的愛は崩壊してしまう。ところが人工的な愛の上では、相手が愛していない前提の下で愛そうとする故に、悲哀的愛は崩壊するどころかますます深まっていく。昇はこのような相互関係を無視したところに愛を見出そうとしたのかもしれない。

16位:鍵のかかる部屋 (新潮文庫) 文庫 – 2003/9

680円

三島由紀夫の世界観を深く味わうことができる短編集です。三島由紀夫が多くの人に支持される理由の一つとして文体の柔軟性というのは大きなポイントです。三島由紀夫作品はときに同じ作家が書いたものだということをにわかには信じられないほど、文体を大きく変えて書かれます。この短編集はそんな三島由紀夫の「らしさ」を分かりやすく感じられる作品として、初めて読む方にもおすすめの1冊になっています。
 書かれた年代もバラバラで、内容もバリエーションにとんだ作品集だ。日本的な情緒にあふれた作品から、歴史に材を採ったもの、外国の幻想文学風のものなど、意外性すら感じるものもある。
 全体的に作家の視点がまるで神のようである。特に、いくつかの物語の終わりが、舞台演劇のように、投げかけられた言葉で暗転して断ち切られて終わるところに「神の手になる物語である印象」が象徴されているように感じられた。
 作家自身のプライドから来ているのだろうか、物語が非常に良くコントロールされていて、すべて事前に分かっているというような一種の様式美にも思える。
 やはり才能のある作家だったんだなという気持ちになった。

三島由紀夫作品おすすめランキングTOP15~11

15位:絹と明察 (新潮文庫) 文庫 – 1987/9/25

680円

「絹と明察」は近江絹糸の労働争議を題材にし、日本的な心情および西欧的な知性の闘いを鮮やかに描いた長編小説です。「日本」「日本人」「父親」という背景の中で近代主義的思想「明察」の男と日本主義の「絹」の男との対比や交錯が描かれています。時代を反映させながらも作品としてしっかりと昇華されている、三島由紀夫の力量を感じられる作品です。
陶酔ともとれる完全な自己肯定型経営者の駒沢。
実際にあった事件が元ネタということもあり、
岡野と称し、三島が視て分析したかのような小説です。

圧巻は十章です。
人間行動の観察眼は凄ましいです。
心情を読んだり、謀ったり…
三島の小説の中でいったら『奔馬』と並ぶ位の読み応えのある一冊でした。

父とは?経営者とは?
庶民に権利が与えられた世界ではリーダーは不要なのか?
リーダー不在が久しい日本では今読むべき一冊なのかもしれません。

14位:鹿鳴館 (新潮文庫) 文庫 – 1984/12/24

596円

「鹿鳴館」は三島由紀夫が初めて俳優芸術のために書いた戯曲で、映画やドラマとして何度も映像化されているため、そちらで知っている方も多いかもしれません。鹿鳴館の大夜会を部隊に、政治、陰謀、人間関係を描いた華やかで、ある種グロテスクな作品です。三島由紀夫の美しい文章だからこそ、芸術性と凄みの増す内容となっており、ファンの間でも人気の作品になっています。
ドナルド・キーンが最高傑作と評した三島の鹿鳴館。戯曲風小説としての確固たる地位を築いていることはもちろん、文体そのものの美しさにも惹かれます。

天長節の鹿鳴館。歴史的現実としては井上馨や伊藤博文らが欧米各国との間に締結された不平等条約の改正を有利に進めるために、欧米化が進んだ日本を見てもらうために使用した鹿鳴館。そういった歴史的な偽善と、登場人物たちの本音と偽善のコントラストがとても面白いです。本書を読む前に一寸だけ歴史的な事実関係を把握すると面白いと思います。

13位:宴のあと (新潮文庫) 文庫 – 1969/7/22

562円

「宴のあと」は全19章からなる長編小説です。東京都知事候補の有田八郎と高級料亭「般若苑」の女将畔上輝井をモデルに書かれたもので、実際有田八郎は「宴のあと」は自分のプライバシーを侵害するものとして日本で初めてのプライバシー裁判を起こしました。この際、「プライバシーの侵害」という言葉は物珍しさから流行語となります。社会的現実を直接的に文学化したものとしては初めての試みで、日本の非政治的風土に切り込んだ質の高い作品になっています。
内容を知らないで読み始めたのですが、主人公が女将さんということに最初気づかなかったです。
そのまま読み進めていくと、老夫婦のラブロマンスが始まるじゃないですか!驚いてページを読み進めていくと選挙をすることになり、クライマックスまでいくのですが私が注目したのはかづの心情です。
かづは自分のことをしっかり者の女将として演じているけれど、その根幹は若々しい乙女みたいだ。と感じました。

12位:夏子の冒険 (角川文庫) 文庫 – 2009/3/25

562円

三島由紀夫の作品の中でも異彩な雰囲気を漂わせているのが「夏子の冒険」です。この作品は軽快なタッチで描かれた恋愛コメディ作品となっており、三島作品の中でも娯楽性が高い作品になっています。娯楽要素は高くても、三島由紀夫ならではの技巧はしっかりと光っているので、三島作品は難しい、という先入観を持っている方の入門書として最適な1冊になっています。
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