胆のうは、肝臓で作られた胆汁を溜めておくはたらきをしています。 胆のうは、肝臓と十二指腸をつなぐ管の途中にあり、西洋梨のような形をしています。 長さは10cm、幅は4cm程度で、50〜60mlの胆汁を貯えることができます。

胆嚢は肝臓の下面に付着して総胆管に連続した袋状の臓器で、胆汁を濃縮して蓄えており、食事の際に収縮して濃縮胆汁を搾り出すことで、より油分の多い食事を効率よく摂取できるような仕組みになっています。 この作用は消化にとって必須ではありませんが、胆汁の排泄が少ないと、脂肪の過剰摂取で下痢となる可能性があります。

食事をしてから便が排泄（排泄）されるまでに通常24～72時間かかります。小腸から流れてきた腸内容物（便のもと）から水分や電解質を吸収して便が作られていきます。大腸が蠕動運動をすることによって便が形成されますが、その際に大活躍するのが腸内細菌です。人間が構成される細胞が約60兆個なのに対して、腸内細菌の数は、100兆以上、重量は1㎏を超えると言われています。この腸内細菌の生成に必要なのが食物繊維です。

また、腸の働きには自律神経が大きく関わっており、「交感神経」優位の時は、蠕動運動が停滞し、「副交感神経」が優位の時は蠕動運動が活発になるため、リラックスしている時の方が腸の活動は盛んになります。そのため、日常生活での食事や仕事・ストレス・睡眠が大きく関係しています。

脾臓は、腹部の左側、胃の奥に位置するこぶし大の臓器です。 古くなった赤血球を処分したり、血液を貯蔵したりする役割があります。 また、リンパ球や抗体をつくるなど免疫器官としても重要な役割を担っています。

脾臓の働きを一言でいうなら、血液中の異物を取り除く”フィルター”です。赤血球の寿命は120日ぐらい。毎日約2000億個の古い赤血球が破壊され、同じぐらいの数が生まれている。そうやって若さを保っているから、酸素が全身に行き渡るわけです。血液の中には、ときに、外界からも異物が入ってくる。特に問題なのは病原性の微生物だ。そんな非常事態から身を守るためにも、脾臓は働いています。

口腔は、食べ物をとらえる捕食、咀嚼、唾液分泌、味覚、嚥下、構音機能など多様な機能を有し、口腔機能は「食べること」と「人と関わり」の二つの大きな役割を担い、人が社会生活を営む上では不可欠です。

楽しく食事をしたり、コミュニケーションをはかったりするためには口腔機能を維持することが不可欠です。 食事や会話に支障をきたすと、外出や人との付き合いを避けるようになり、閉じこもりがちになります。 不活発な生活が長く続くと、体力とともに意欲も低下し、うつ傾向や認知機能の低下にもつながります。

肺は、呼吸を司る非常に重要な器官です。風船のように膨らむ左右の袋と横隔膜の収縮で、空気を出し入れします。テニスコートほどの表面積を持つ肺胞で、体内に酸素を取り込み二酸化炭素を排出します。気道を通る外気からの汚染を、あらゆる手段(咳、痰、 線毛、マクロファージなど）で防御しています。

新型コロナウイルス感染症の重症患者が、脳梗塞などの「血管系の病気」になることに疑問を抱いた人もいるでしょう。肺の機能は、心臓や血液循環とも密接に関わっているため、呼吸の質によって全身の健康状態は大きく左右されるわけです。

心臓が1日10万回の収縮を続けるために必要な酸素と栄養素を心筋へ運ぶのが、心臓の表面をとりまく３本の冠動脈です。 人は全身の隅々まで血管が走っていますが、その中で一番重要な血管と言えます。 1日約10万回も血液を送り出しているとても働き者な臓器といえます。

重度の心疾患になってしまった場合、心臓移植という治療法があります。亡くなられた方の心臓を取り出して病気の方に移植すると、心臓は再び動き出します。ひとつの心臓には100億個もの細胞があると言われています。その内の99％は、サイズは大きいがおとなしい細胞（心筋細胞）。残り1％が司令塔のような役割を担う「ペースメーカー細胞」です。このペースメーカー細胞は電気信号を発生させ、心筋細胞たちに対して『動きなさい』という司令を出し、心筋細胞が収縮・弛緩を繰り返すことにより、心臓は全身に血液を送るポンプのような役割を果たしています。心臓は独立した電気のシステムを持っているので、体外でも動くことができるわけです。

「おしっこ」をつくるのが仕事の、地味な臓器。それが腎臓の一般的な印象ではないでしょうか。ところが、そんなふだんあまり意識しない「腎臓」に、いま世界の研究者から熱い注目が集まっています。なんと腎臓は、人間の寿命をも左右する、人体の「隠れた要」であることがわかってきたそうです。また、腎臓を鍛えると アスリートの持久力が高まるとも言われています。

アスリートが行う高地トレーニングのねらいは「腎臓を鍛える」ことにあるといいます。体内に酸素が足りなくなると、それを察知するのは「腎臓」です。そして、EPO（エポ、正式にはエリスロポエチン）という物質をさかんに放出します。この物質は、「酸素がほしい！」という腎臓からのメッセージを全身に伝える、いわば“メッセージ物質”です。EPOは血液の流れに乗って全身に広がり、骨に受け取られます。骨の内部、「骨髄」では、酸素を運ぶ「赤血球」がつくられています。ここにEPOが届くと、赤血球が増産され、体中に効率よく酸素を運べるようになるわけです。

肝臓は、栄養素など、さまざまな物質を化学的に作り変えるはたらきを持ち、からだの中で最大の腺（せん）といわれています。また、何千という酵素を使い、500以上の複雑な化学変化を起こしています。このために、肝臓と同じはたらきをする化学工場を、人間はまだ作ることができないといわれています。肝臓が元気であることは、すべての器官にとっても大切なことと言えます。

ほかの臓器の老化が進んでも、そう簡単にはダメにならないのが肝臓で、肝臓の特徴のひとつに「再生しやすい」ということが挙げられます。肝臓は、少し切り取られても再生することができる、ただ一つの臓器です。ラットなどで行った実験では、3分の2を切り取られた肝臓が、1週間ほどで、元の大きさにもどっています。肝臓の細胞は、壊れても再生する力が強いため、これが最強の臓器とも呼ばれる所以です。