『となりのトトロ』に登場するサツキの同級生のかんたのおばあちゃんが「こりゃあススワタリじゃ」と言うシーンもありますが、『となりのトトロ』と『千と千尋の神隠し』のススワタリは成り立ちに違いがあり、前者は釜戸やお風呂を炊いた時に出るススから生まれるのに対して、後者は釜爺の煤のススに魔法をかけて働けるようにしています。

千と千尋の神隠しには、思わずニヤケてしまうような隠れジブリが潜んでいます。物語を一通り見終わった後は、隠れジブリを探すためにもう一度見返すことで楽しみが二倍になります。何度でも見たくなってしまうというファンが増加しています。

千と千尋の神隠しの作中、湯婆婆がカオナシに対して波動を撃つシーンがありますが、これを見たファンからは「打ち方やエネルギー弾のようなものを放つシーンがドラゴンボールのかめはめ波に似ている」と話題になりました。しかしこの絵コンテを見てみると「ドラゴンボール風に」と書き込まれていたそうです。これはほぼかめはめ波と言ってもいいかもしれません。

作中、千尋が銭婆のもとへ向かう際に、海の上を走る海原電鉄を使用します。その途中の駅である沼原駅のホームに立ち尽くすおかっぱヘアの少女が、実は「火垂るの墓」に登場する節子ではないかという都市伝説があります。

「火垂るの墓」は「千と千尋の神隠し」と同じくスタジオジブリ作品のため、節子がサプライズで登場したのでは？と噂されています。ではなぜ節子がホームにいるのか？これについてファンの間では「自分より後に命を落とした兄の清太を待っているのではないか」という憶測が飛び交いました。

千と千尋の神隠しの後半になると、千尋が電車に乗るシーンがあり、そこで人気キャラクターのカオナシが登場します。ここで気になるのが電車に乗っている半透明の黒い人たち。実はこの人たちは生きることに希望を失ったひとたちという都市伝説があります。

この海原電鉄は自殺をする人があの世に行くために乗る電車ということです。途中に下車できる駅があるのは、自殺を思いとどまった人が降りることができるようにあり、海原電鉄が一方通行なのはあの世が終点だからと言われています。この海原電鉄のモデルとなったのは相模鉄道と小田急電鉄と言われています。

千と千尋の神隠しでは、冒頭、千尋と両親が車で走っていると道に迷ってしまい、父親が突然スピードを上げてトンネルに向かって車を走らせ、不思議の世界に迷い込むシーンがあります。実はことき、千尋たちは車で事故をおこし、瀕死の状態だったという説があります。

何故このような説が出てきたかというと、作中でトンネルを抜けて不思議の世界に入ったとき、既に身体が透けて消えそうになっていたのと、車で三途の川のような場所を渡るシーンがあるためです。この三途の川は現世と死後の世界の境界線のようで、これだけを見ても千尋たちがトンネルを抜ける途中で事故い遭ったと考えられています。

主人公・千尋は”油屋”で「湯女（ゆな）」として働いていますが、この「湯女」とは、古くから遊女(売春婦)を示す言葉として知られています。また、赤い提灯がありますが、これは全世界共通で売春宿の印で、赤を基調としたインテリアは江戸の遊郭を連想させます。

油屋は現代でいう「ソープランド」のような風俗であることはほぼ間違いありません。ではなぜ宮崎駿監督は風俗を舞台にしたのでしょうか。これについてインタビューで「現代の世界を描くには風俗産業がふさわしい」と語っています。また、日本は全て風俗産業みたいな社会になっていると表現しています。

ハクは主人公・千尋を助け、元の世界に帰れるよう導いてくれる存在です。そんなハクは、千尋が帰った後、湯婆婆によって”八つ裂き”にされるという衝撃的な都市伝説が話題になっています。普段は美少年のハクですが、正体は白い龍です。元々は琥珀川（こはくがわ）に住んでいた龍の神様なのですが、都市開発のせいで川が無くなり住む場所を失ったのです。そのため、湯婆婆の元に弟子入りしました。

ハクは湯婆婆に銭婆の元から坊を取り戻すための交換条件として、千尋と千尋の両親を元の世界に戻すことを申し出ています。その際に湯婆婆から八つ裂きにされてもよいのかと問われ、それでもかまわないと即答しています。物語終盤の千尋とハクが別れる場面で、千尋とハクのつないだ手が離れるシーンは、宮崎駿監督によれば”2人の永遠の別れ”を表現していたとも言われています。

別れる前にハクが千尋と再び会う約束をしたのは、殺された後に魂だけとなり現世に降りることを意味していたのかもしれません。また、名前を奪われて湯婆婆の命令に逆らえなかったハクに対して千尋が「あなたの本当の名は、コハク川」と言い、ハクは自分の本当の名前を思い出し、湯婆婆との契約から解放され、「本当の名前を取り戻したから大丈夫」と言っていることから、八つ裂き説はただの噂という説もあります。