少しだけ消えるかもしれない職業をご紹介しましたが、正直なところ、完全に消える職業はおそらくこの世に存在しません。時代の流れによって利益の増減などは大きく変動するかもしれませんが、どのような職業であっても、誰かが必要としている以上消えることはないでしょう。

インターネットショッピング、ダウンロード販売の普及などで経営が困難になっている店舗も多いようですが、これらの販売方法ではなく、直接店舗で購入したいと考えている人も大勢います。顧客が喜ぶ販売方法、おもてなしの心を直接見せることができるのは、店舗ならではの強み。ダウンロードではなく手元に置いておける商品が欲しい人も多く、映像作品、ゲーム、書籍などもまだ完全にデジタル化に移行したわけではありません。

飲食業、製造業なども私たちの生活を支えてくれる職業であり、反社会的な職業、道徳に反する職業でない限り、全ての職業が人に必要とされていると言ってもいいでしょう。

しかし、世の中は綺麗事だけでは生きてはいけない過酷な世界。弱肉強食の世界であるため、潰し合いの世界でもあるのです。職業が消えることはないとしても、大手よりも人員の経済力の数字で劣る個人事業主、中小企業経営者、フリーランスは、少しのダメージで一気に転落する恐れがあるのです。

フリーランスのメリットは、会社に縛られることなく自由に働くことができるのがメリット。近年はブラック企業の蔓延により自由に生きることを望む人も多く、「ノマド」という働き方も注目されるようになりました。自分自身のスキルを活かし、インターネットで依頼を探すイラストレーターや写真家も今の時代珍しくありません。

しかし、フリーランスは「不安定」という最大のデメリットがあります。企業に勤めていると1ヶ月前までに退職の意思を伝えたり、リストラを通告されるものですが、フリーランスにそのような決まりは基本的にありません。毎月仕事をもらえていたものの、翌月に入りいきなり仕事がゼロになってしまっても不思議ではない世界なのです。

自由である反面、不安定であることを常に念頭に置いておかなければならず、想定外のアクシデントに巻き込まれてしまった際も、依頼者の企業に頼らず、自分自身で解決しなければいけないのです。自分自身のスキルを活かす才能があったとしても、臨機応変に対処できる対応力も持ち合わせていなければ、フリーランスとして生きていく事は難しいかもしれません。

個人事業主はフリーランスに近いですが、一般的には飲食店の経営者などを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。法人を設立して経営している飲食店もありますが、個人事業主として飲食店を経営しているオーナーの人数も少なくはないでしょう。

チェーン展開していない飲食店ですと、自分自身がイメージするお店作りを進めることができます。また、地域密着型での店舗経営も行いやすく、メニューの評判が遠方の顧客にまで伝わり、成功することができれば一攫千金を狙うことも夢ではありません。

しかし、飲食店の個人事業主も、フリーランスと同じく安定しているとは言えないのが現実。多くの人から美味しいと言ってもらえるメニューを提供できたとしても、顧客に恵まれず、十分な利益を稼ぐことができず閉店を選択したオーダーも日本中に大勢いるのです。

特に飲食店の経営は競争率が激しく、閉店してはまた新たな飲食店がオープンする流れが繰り返し行われています。また、運も非常に重要であり、何年も計画して念願だった自分の店をオープンしたとしても、美味しくて安価、または知名度が高い大手チェーンが近場にオープンしてしまった場合、料理できる確率は絶望的かもしれません。

こういった不幸に巻き込まれたとしても「自己責任」であり、誰も助けてはくれないのです。

中小企業で務める人は個人事業主やフリーランスではないため、会社で働く以上は安定居した収入を得られるかもしれません。しかし、ブラック企業も多く、実際の労働時間に見合わない給料しか支払われていない中小企業の会社員も少なくはありません。また、大手企業よりも資金、利益などの面に劣るため、緊急事態が発生してしまった際に倒産、リストラの恐れもありえるかもしれません。

日本は長年に渡り不景気と言われており、多くの人が自身の仕事や収入について不安を抱えて生活を送っています。その不安が一層膨らんでしまったのが、新型コロナウイルスの流行。ウイルスという凶悪な敵が広まり、誰も想定していなかったであろう緊急事態が全世界を襲ったのです。

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、日本国内で予定されていたイベントのほとんどが中止に。北海道で働く人たちにとって重要な収入源のひとつである北海道物産展も中止となってしまい、販売される予定だった商品は行き場を無くしてしまいました。

その後も新型コロナウイルスの感染拡大が広まり、北海道以外の地域においても悪影響が発生。観光地で販売されているお土産が売れなくなり、ホテルや旅館も宿泊者が激減してしまったのです。

芸能人、イベントスタッフなどエンターテイメントの世界で働く人たちも、新型コロナウイルスによって仕事がキャンセル。コンサートなどのイベントも中止を余儀なくされ、収入がゼロとなってしまいました。

飲食業界も顧客が激減し、各都道府県の要請により営業自粛や営業時間短縮を行う店舗も。急遽ランチサービスやデリバリーサービス、お弁当の販売を始める飲食店も増えたものの、それでも十分な利益を得ることができまないようです。

この記事を作成している現在も、新型コロナウイルスは世界で感染拡大が続いています。日本も例外ではなく、未だ終息の気配を見せていません。

新型コロナウイルスの影響で倒産してしまった企業も目立つようになっており、現時点で100社の企業が倒産したとも報じられています。しかし、コロナショックに直面している現時点においても、消えた職業はおそらく何一つありません。

新型コロナウイルスなど想定外の脅威、緊急事態によって消える恐れがあるのは、職業ではなく不安定な環境で働く人たちの「仕事」なのです。

新型コロナウイルスは全世界の人間たちにとって恐ろしいウイルスですが、誰よりもその恐ろしさに不安を抱いているのが、個人事業主の方々やフリーランスとして働く方々です。特に旅館やホテル、飲食店の経営者、その他サービス業の運営者、インバウンド業などを務めている個人事業主の方々ほど、日々新型コロナウイルスの恐ろしさと向き合いながら生活を送っています。

新型コロナウイルスの流行が長引けば大手企業であっても油断はできませんが、それでも中小企業や個人事業主よりも十分な力を蓄えています。大手飲食チェーンなら臨時休業を決意したとしても閉店の心配はあまりないかもしれませんが、個人経営の飲食店にとっては死活問題であり、見えるように「助けてください」と記載した用紙を張り営業を続けている個人経営の飲食店も目立ちつつあります。

本当は営業を自粛し休業を選択したくても、多くの人が生きるために苦しい状況の中知恵を絞り働いているのです。

長引けば大手企業であっても危機的状況になる恐れがあるほどですので、中小企業ですとさらに深刻。仮に新型コロナウイルスが5月に終息の気配を見せたとしても、経済の勢いがすぐ元通りになるとは限りません。終息後もしばらくの間は不況が続く可能性が高く、新型コロナウイルスの心配が無くなるまで生き残る必要があります。

そのため、終息までの間に倒産してしまう中小企業の数は、最終的に恐ろしい数になるのでは、と予想している人も少なくはありません。経費削減のためのリストラが発生する恐れもあり、職業が消えることはないものの、職を失った人が急増する恐れも十分考えられます。

すでに新型コロナウイルスの影響で仕事を失った人も目立っており、特にアルバイトなどの時給を稼ぎ働く人、そして派遣社員や日雇い労働者の方々にも悪影響が出ています。仕事を失ったことで生活ができなくなる人も増加し、力の弱い女性を襲う悪質な犯行も発生しました。

新型コロナウイルスが長引くことで治安の悪化も懸念されており、このままですと限られた人を除く大勢の人たちが悪影響を受けてしまうかもしれません。

悪質なデマを流したり、新型コロナウイルスによって亡くなられた芸能人の息子を詐称する輩が増えるなど、新型コロナウイルスは一部の人が秘める醜い本性をもさらけ出しました。また、新型コロナウイルス感染者の家族に対して非常識な行い、いじめのような言動をする人間も増えており、新型コロナウイルスは人々の仕事・収入だけでなく、人間の優しさや一般常識など、感情や知識も奪っているのかもしれません。

それでも、全ての人間が他人を傷つけているわけではありません。日本国内では「コロナに負けるな！」と声を挙げて協力し合っている人たちも多く、特に観光業界、飲食業界では、行き場を失った食品をインターネットショッピングで販売し、多くの人たちが支援のため商品を購入しています。

近隣の飲食店同士で協力し合同でお弁当のメニューを販売するなど、他国に比べ閉鎖的な人が多いと言われている日本人たちが、新型コロナウイルスに打ち勝つため支え合って今を生きているのです。

イベントやコンサートの中止などで打撃を受けた芸能界においても、支援は広まっています。

「バイキング」の司会を務める俳優の坂上忍さんは、緊急事態宣言が解除されるまでギャラを寄付することを発表。また、元SMAPの稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんの「新しい地図」も、基金を設立し支援することを発表しました。

新しい地図のメンバーたちが所属していたジャニーズ事務所も、タレントたちの無観客ライブや手洗い動画などを公開し、私たちの心に寄り添うような活動を行ってくれています。