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少年が憧れのトロッコに乗ったときの、ワクワクする気持ち
でもよく見知った人のいない中、遠くに行けば行くほど、不安になる
空が暗くなり夜になると、もう帰れないんじゃないかと不安でいっぱい
必死で必死で一人、家族のいる場所に戻ってきて、そしてほっとしてわっと泣き出してしまう気持ち

どれも、誰もが子どもの時に感じたことのある気持ちではないでしょうか?
これらの気持ちの移り変わりが、自然や情景の描写によって、実に巧みに描き出されています。

でもこの物語は「子どものときの思い出」に留まりません。
ラストの文章で、幼い子どものときの気持ちを懐かしく思い返していた読者に、はっと「今の生活や状況」を突きつけます。

最初から最後まで読み通して、是非この余韻を味わってほしいです。

13位:猿蟹合戦

0円

「猿蟹合戦」は初出1923年の掌編作品です。日本の民話で誰でも知っている「さるかに合戦」をパロディーにした作品で、よく知られた民話の後日談という体裁で描かれています。「さるかに合戦」においては見事仇討を成し遂げる蟹とその仲間たちですが、「猿蟹合戦」では結局猿を殺害したのち、その罪を問われ死刑に処されるという内容で、なんとも言い難い読了後の気分になる作品です。ブラックユーモアが好みの方におすすめの小説です。
昔ばなしの「猿蟹合戦」その後を語っている。まるでおふざけのようだが、真面目臭く創作しているところが面白い。

 昔ばなしでは、蟹の握り飯を奪った猿が蟹に仇を取られて終わる。ところが芥川は、その後について、きちんと契約書を取り交わしていないので猿に責任はないとか、蟹の好意は殺人罪にあたるなどと屁理屈を並べて猿を弁護している。正式に裁判をして、主犯の蟹を死刑にし、他の共犯者である臼や蜂などは無期懲役になったという。

 芥川には、世間が皆蟹の味方なのと、ありきたりの仇討ちが面白くないのだろうが、ほとんどの読者からは受け入れられないだろうと思う。

12位:蜘蛛の糸

1,760円

「蜘蛛の糸」は1918年初出の短編小説で、芥川龍之介初の児童文学作品となっています。地獄に落ちたカンダタという泥棒が以前蜘蛛を助けたことがあり、この徳を思った釈迦がカンダタに手を差し伸べるという内容の物語です。いわゆる童話的な物語ではありますが、分かりやすい作品ではあるので初めて芥川龍之介の作品を読む方にもおすすめです。誰しも一度は読むべき作品と言えるかもしれません。
彼女が小さい頃に読んで、絵が印象に残っていて思春期になって突然「あの本を手元に置きたい」と。確かに。怖い絵だけれども色が美しく、とても惹きつけられます。

11位:舞踏会

524円

「舞踏会」は1920年初出の短編作品です。ピエール・ロティの「秋の日本」という作品の中の「江戸の舞踏会」という章に着想を得て執筆に至ったと言われています。内容としては明治19年、鹿鳴館で催された夜会に招かれた娘がフランス人海軍将校に踊りを申し込まれ、2人で花火を眺め、その後老婦人となった娘がその思い出を思い返すという内容で、淡い恋を瑞々しい筆致で描いています。
表題になっている『舞踏会』と『蜜柑』が名作なのはいうまでもない。そして『路上』は有名でないが面白かった。これは明らかに『三四郎』の真似である。しかしさすがに芥川だけあって文章がうまく、『三四郎』を読んでいても飽きないのだ。

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10位:芋粥

0円

「芋粥」は1916年初出の短編小説で、「鼻」と並ぶ古典翻案ものと言われています。時代は平安時代。主人公は摂政藤原基経の役所に勤務するうだつの上がらない小役人、才覚もなく、見た目も貧相な彼は同僚からも馬鹿にされる情けない男。そんな彼は芋粥を飽きるほど食べたいという夢を持っています。それを耳にした藤原利仁が芋粥を大量に振舞ってくれるのですが―。この作品に何を思うか、自分にとっての「芋粥」はなんなのか考えさせられます。
中学生の時に芋粥を習いましたが当時はよく理解出来なかった。
容姿と性格のことで周囲の人間から冷たくされ、孤独で寂しい心を芋粥を飽きるほど食べるという憧れを持つことで守っていたんじゃないかとおもいました。
その憧れがいざ叶うという時、心の支えにしていたものが崩れるのを感じたんじゃないでしょうか。

それは芋粥の話に限ったことでなく現代にも普通にあるとおもいます。
願わくば、芋粥ではなく彼の心に寄り添ってくれるような人が現れます様に。

9位:アグニの神

0円

「アグニの神」は1921年初出の短編小説です。ちなみに「アグニの神」とはヒンドゥー教における火の神「アグニ」のことで作中においてはこの神を交霊させて事態を好転させようとする役割で登場します。この頃の芥川龍之介は上海が危険な街という認識があり、その認識の上で書かれた作品になっています。創作童話のようなテイストで初めて芥川龍之介作品を読む方にもおすすめです。
 支那は上海でのこと。インド人の婆が占いを生業にしていた。占いの仕方は、拉致した少女にアグニの神を降臨させ、お告げを聞くというものだ。その夜もアメリカ人の依頼で夜中の12時にアグニの神を恵蓮(えれん)という少女に降ろしてお告げを聞こうとしていた。

 実はこの少女は香港の日本領事の娘妙子であり、インド人に拉致されたらしいという情報も得ている。

 妙子はインド人婆に魔法にかけられたと見せかけて逃げ出す算段をしていたが、魔法から逃げることは出来なかった。ところが妙子に降りたアグニの神はインド人婆の悪事を見抜き、婆を罰した。そして救出に来た書生の遠藤と脱出に成功するのだった。

 最初に出てくるアメリカ人の占いの依頼は、日米はいつ開戦するかを占って欲しいというものだった。彼はビジネスマンだから、戦争の時期がわかれば大儲けが出来ると企んでいる。

 次の訪問者は妙子を探しに来た書生の遠藤で、既にインド人は拉致されこの付近に居るとの確信を持ってやってきた。婆にピストルを向けて妙子を出せと迫るが、逆に婆に魔法で追い返されてしまう。声で遠藤が来たことを知った妙子は窓から書き付けの紙を投下し、遠藤に連絡を取る。そして脱出を計画するのだ。

 相変わらず短いながらも、物語は起承転結していて読み応えがある。こういうストーリーを書くと芥川の真骨頂が発揮されるのだろう。

8位:文芸的な、余りに文芸的な

0円

「文芸的な、余りに文芸的な」は芥川龍之介が1927年に「改造」で連載した文学評論です。同時代の文豪である谷崎潤一郎との「小説の筋の芸術性」について論争を行っていることで高い注目を集めた作品です。これを受けて谷崎潤一郎が反論、その次には芥川龍之介が再び反論と長く続いた連載は芥川龍之介の自殺によって幕切れとなってしまいました。しかし谷崎潤一郎と芥川龍之介が不仲だったということはなく、親交があるがゆえに許された論争であった点ことは留意して読んでいただきたいと思います。
とにかく長い。なかなか読み切れなかった。面白い話もあれば、つまらない話もある。

7位:地獄変

407円

「地獄変」は1918年初出の短編小説です。「宇治拾遺物語」の「絵仏師良秀」をもとに芥川龍之介がアレンジをしたもので、平安時代の絵仏師で天下一の腕前が評判になった良秀という醜い容姿とふてぶてしい性格の男が「地獄変」の屏風絵を描くように命じられるも、「実際に見たものしか描けない」と訴える内容になっています。結果彼は自分の愛しい娘が目の前で焼かれていく様を見せ付けられることになりますが、それを厳かに眺め「地獄変」を描ききった後、自ら死を選びます。ゾッとする内容ではありますがある種の愛の形を描いた名作です。
芥川龍之介の作品はくらいという印象があって、読むことを避けていましたが、所属する推理小説研究会の解題作として、推理物ではないが、教養として読むということになり、久し振りに芥川作品を読みました。中学か高校時代に感じていたとは別の感想を持ちました。今後は芥川作品にも目を配ります。

6位:侏儒の言葉・西方の人

473円

「侏儒の言葉」は1925年初出の箴言集・文学作品です。侏儒は体の小さい人や知識のない人を指す蔑称です。このタイトルが軍人を侮蔑しているという理由で次版改訂の処分を受けているのもこの作品の特徴です。ちなみに同時収録されている「西方の人」は芥川龍之介のエッセイで自殺を前に自分の一生をキリストの一生になぞらえて執筆されており、自殺に向かう心情がリアルに綴られています。
この著作を「神経衰弱だから評価しない」と語ったのは、三島由紀夫。

私もそう思いつつもこの著作を読むと「助けてください。」と思います。

理屈ではなく芥川氏は或る「知性」の傷みが表現されている。

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5位:河童

928円

「河童」は1927年に発表された小説で、芥川龍之介の自殺を考えるという意味でも非常に重要な位置付けにある作品です。芥川龍之介の晩年の代表作として知られており、芥川龍之介の命日である7月24日を「河童忌」と呼ぶのもこの作品が由来です。当時の日本社会や人間社会を痛烈に批判した作品で、鬼気迫るものを感じさせます。芥川龍之介の死を掘り下げるという意味では「河童」は確実に読むべき作品と言えるでしょう。
やはり傑作であります。人生が嫌になるようなまえに、なったときに、一読することにしている一編。50年経って再読し、深い寓意を感じ取れ作品の価値を再評価できました。現代人に共通する話であり龍之介自身が綴った世界観は妙に重なり面白い。

4位:歯車

462円

芥川龍之介の死を掘り下げるという意味では「歯車」も重要な作品です。生前に第1章が「大調和」に掲載、残りは遺稿として発見された経緯があり、同様の遺稿の中では唯一の純粋な小説になっています。内容としてはストーリーらしいものはなく、不気味な幻想や妄想が描かれたもので、芥川龍之介を自殺へと追い詰めた要因を知ることができます。
歯車を読みたくて購入したが、心が病んでいる人の内面を克明に、芸術として表現できるのはさすがだと思う。狂気のつらさ、不条理さ、やるせなさがじわじわと実感できて、しかも硬質な、乾いた文章が美しい。

3位:羅生門

407円

教科書にも掲載されている作品なので読んだ記憶のある方は多いのではないでしょうか。京都羅生門で死んだ女の髪を抜く老婆とのやりとりから天災や餓死などの荒んだ時代背景、生きるための悪を正当化する人間の心の闇を描いています。生きるための悪を正当化する老婆の着物を剥いで消える男というラストは多くの人間に衝撃を与えました。
とあるコラムを読んでいた時に、まるで羅生門の下人のようだと記述があった。
さて、どんな話だったか記憶を巡らすが思い出せない。でアマゾンで購入した次第。
人間って本当に!というお話でした。私も何かを振りかざして生きているに違いない。
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