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「おわかれ致します。あなたは、嘘ばかりついていました。」
太宰のおそらく得意とする女性の告白体で書かれたこの作品、今読み返してみて改めて名作だと感じました。
「私の、こんにち在るは」という言葉を聞いてラジオのスイッチを切る私。
今でもいろいろな場所でよく聞く言葉ですが、その度に、ああこの人は「きりぎりす」を読んでないんだなといつも思います。
学生時代に初めて読んで、人生を変えられたとまではいかなくとも、自分の内面をじっくりと見つめさせられた心に残る作品の一つです。
40、50代で自分の生きてきた道を振り返りたい人、そして人生これからの若い人にぜひ読んでもらいたい作品です。短編なのですぐに読了することができます。

13位:川端康成へ

0円

太宰治の作品だけでなく、人となりを深く知りたいと思っている方には「川端康成へ」がおすすめです。この作品は第1回芥川賞の候補作として「逆行」がノミネートされたものの、選考委員であった川端康成が当時の太宰治の生活が荒んでいることを理由に別の作品を推奨したことで怒った太宰治が執筆したという経緯があります。太宰治は川端康成の「禽獣」という厭人癖のある男を描いた作品を彷彿とさせる一節で痛烈に批判。かと思えば川端康成へのリスペクトも確かに感じさせる部分もあり、太宰治の中に渦巻く一言では言い表すことのできない不安定さがいっそドラマティックにさえ感じます。
太宰治から、川端への、ただの愚痴のような文章。しかし、当時の作家業界の一部分を見ることが出来るような気がして、面白い。
とても短いので、時間つぶしに読むのもいいだろう。太宰が悔しがっていた様子が浮かんでくるようで、楽しい。
太宰が、好きなことをのびのびと書いている。

12位:新ハムレット

605円

「新ハムレット」は1941年に発行された、シェイクスピアの「ハムレット」の近代的翻案、もしくはパロディと呼ばれている作品です。太宰治としては初めての書き下ろしの長編作品で曰く「戯曲の形式をとっているが、新しい小説のつもりで書いた」という、意気込みが感じられる1冊でもあります。太宰治らしい皮肉とある種ブラックユーモアの感じられるこの作品は「ハムレット」の翻案や注釈書を求めて読まないようにあらかじめ心得て読んでいただきたい作品です。
太宰は、ワンセンテンスが長めで、平成の若者には、はまらないかもしれません。これを心理描写で補っていると思えば、にんまりと懐古的になれます。皆様のレビュー通りだと思います。短編は入門として味わいがあるので、おすすめしたいです。

11位:パンドラの匣

572円

「パンドラの匣」は1946年に発行された長編小説です。「健康道場」という結核療養所を舞台に展開される恋愛模様を通し、青年の成長を描いた物語になっています。この作品は太宰治の読者であった木村庄助の病床日記を元ネタとして作品で、太宰治と文通していた木村庄助は1943年病を苦に22歳でいう若さで自殺してしまいます。その後、遺言によって日記が全て太宰治へと渡され、「パンドラの匣」の執筆へと至ったのです。
斜陽や人間失格など晩年の作品が脚光を浴びたせいで「太宰=暗い」というイメージが形成されてしまったのは仕方ないと言えば仕方ないのですが、じつは彼は非常に多彩なテーマと文章形式で作品を書き分けられる屈指の技巧派作家でありました(そのぶん自分だけのスタイルというものが安定していなかったとも言えます)。

 で、そんな彼のいくつもの側面のひとつ、「明るい太宰」の代表的な作品がこちら「正義と微笑」と「パンドラの匣」。女生徒や津軽も良いですが、私は俄然この2作品が好きです。書簡体の小説はえてしてクセがあるものですが、これらに限っては普通の物語と同じように気持ちよく読める。やぱり太宰は天才だなと思わされます。

 夢を追う少年の揺れ動く情緒と葛藤、潔癖な幻想や蒼い苦悩を描きだす極上の青春小説「正義と微笑」。誤解を恐れずに言えば、太宰文学最高にポップでハートフルな清純ラブコメ「パンドラの匣」。どちらも遜色なく素晴らしい。ヴィヨンの妻、斜陽、人間失格あたりで太宰を知ったあなたに是非とも手にとってほしい、青春と希望の太宰文学。もちろん、鋭敏な感性を抱える思春期の少年少女にもお勧め。

太宰治作品の人気おすすめランキングTOP10~6

10位:惜別

605円

「惜別」は1945年に発行された作品です。太宰治の中期を代表する秀作と呼ばれている作品2作を収録しています。内容は仙台留学時代の若き魯迅と日本人学生との心温まる交友を描いた表題作「惜別」と敗戦に向かう時代に対して芸術家としての己の魂を理想像である源実朝に託して記した「右大臣実朝」の2編。いずれも学問的に読める作品でもあります。
戦前の中国の人は優しく、人間的にも優れていたのではないでしょうか。
太宰の真骨頂ですね。多くの日本人に読んでいただきたいと思います

9位:津軽

473円

「津軽」は1944年に発行された作品で、小説ではなく紀行文あるいは自伝的小説という位置付けがされています。時期としては戦争が激しくなってきた時期ではあるものの、カラっとした明るさを感じることができ、青森に行ったことがないという方でも思わず青森に思いを馳せてしまうような内容になっています。じんとしたい気分の時にもおすすめです。
一時期弟が嫌いで、受験失敗しちゃえと思ってた、なんて極めて個人的で赤裸々な心情が書いてあるかと思えば、青森の歴史に触れてみたり、友人達との再会と交流が描かれていたり。「一人で仕事する友人の姿」を想像するその描写の見事さにはこちらまで切なくなり、
お寺に”手みやげ”を持って寄った件やその結末はユーモラスに、ラストの再会は感動的に。
旅行記の筈が小説のようです。

あと、短かく、兄や上記の弟が亡くなっていることが書かれていますが、極めて歳の近い肉親が亡くなっている体験から、
筆者にとって死は身近なものであったのかなとしんみりしてしまいました。

8位:ヴィヨンの妻

407円

「ヴィヨンの妻」は1947年に発行された作品集です。新生への希望、戦争を経験しても変わらない現実への絶望、それでも新しい倫理を求めた晩年の太宰治が行き着いた文学的な答えとも言うべき作品が詰まった1冊になっています。晩年の太宰治が何を思い、何を感じたのか気になる方にぜひ読んで欲しい作品集です。収録作は「親友交歓」や「トカトントン」などいずれも人気の高い作品です。
 小生、「ヴィヨンの妻」は飽きるほど読破したが、何度読んでも主人公大谷の妻の健気なさには、悲しいくらいの、愛おしさを抑えきれない
そして、朗読サークルで日夜朗読の勉強に励む小生にとって、何よりの最高の「お手本」とも言える伊武雅刀氏の語りは、この作品を見事に
具現化している。本品は、ただ単に太宰 治の名作にとどまらずに、小生のケースのような役立てかたとしても活用できるのである。

7位:駈込み訴え

440円

「駈込み訴え」は1940年初出の短編作品です。太宰治の妻美和子が夫の口述を筆記して書かれた作品で、美和子曰く「全文、蚕が糸を吐くように口述し、淀みもなく、言い直しもなかった」と証言しています。イスカリオテのユダを主人公にした作品で、ユダがキリストに対してどのように思っていたのかを述べている形式になっています。全体としてはイエスの薄情さを愛や憎しみを織り交ぜて訴える内容の物語ですが、ユダがどこに駆け込み、誰へ訴えかけたのかは全文を読破しても明らかにされていません。
「どうなるんだろう」「ワクワクする」
「先が読みたい」「ページをめくる手が止まらない」

そんな愉しみだけが読書ではないことを存分に教えてくれる。

人間の心の中にある、妬み・嫉み。
誰かのことを言っているつもりが実はそうではなかったり、
本音を隠そうと慌てたり、すり替えたり、他人になすりつけようとしたり。

こういうものを読むと、不思議と一生何処かに残ります。

巷にあまたある、ストーリーばかりを追った物を手にし、
読後に「あ〜、楽しかったー」となったところで、
しばらくしたら内容などすっかり忘れて、
「あれ。どうだったっけ」みたいなことが少なくない昨今。

そんな書物ばかりを読んだところで、
全く心の栄養にはならないのだなあと、
確実に気づかせてくれる名著中の一冊。

6位:お伽草紙

649円

「お伽草紙」は1945年に発行された短編小説集です。「瘤取り」「浦島さん」「カチカチ山」「舌切雀」などが収録されています。戦争期の困難な時代にも芸術世界に沈潜することで時代への抵抗の姿勢を維持し、文学を支え続けた太宰治の中期を彩る作品集になっています。古典や民話を取材し、昔話の口調を活かしているのも大きな特徴になっています。
有名な御伽草子を、太宰流にシニカルに読みかえた一篇です。

私は経験がありませんが、戦争中は自殺者が激減すると言われるように、生きることに精いっぱいでなかなか物事に対してシニカルになる余裕などないと言われています。しかし、この作品を読めばわかりますが、太宰のシニシズムが戦争にも負けないほど筋金入りです。物語の筋自体はオリジナルと同じなのですが、誰でも知っている有名な物語を、解釈次第でここまで様相の異なる話にできるものかと、改めて作者の人間観察の独創性に驚かされました。

Kindleの開始で、この実に面白い作品を無料で読めるようになりました。以前から、青空文庫などで無料で読めると聞いてはいましたが、Amazonのクラウドで複数の電子機器からアクセスできるメリットは魅力です。私もそうでしたが、Kindleで書籍をいきなり購入するのは、多くの人にとってその性能その他に不安があると思われます。そこで、私は自分が昔から好きだったこの作品でいわばお試しをしたわけですが、Kindleが非常に使いやすく便利なことがわかりました。加えて、この御伽草子は各話が短く、また文体も漱石や鴎外ほど古くないので、現在の読者でも気軽に読み進めることができます。kindleの性能を試すお試し用の作品として、また太宰の作品の敷居が高いと思っている読者にとっての食いつきとして、この作品は大いにお勧めです。

太宰治作品の人気おすすめランキングTOP5~1

5位:女生徒

484円

「女生徒」は1939年発行の、初期の太宰治の作品を集めた短編小説です。表題作の「女生徒」は思春期の女子生徒の心情をとりとめなく羅列するという形式の作品で、現代で考えるとSNSでツイートした内容をまとめた、といった雰囲気の小説です。同じ年頃の少女が読めば共感する部分もあるでしょうし、大人の女性が読めば昔を思い浮かべるような多感な年頃を的確に表現した名作です。
中学生にあげるために買いました。
自分が繙いた頃に思いを馳せながら、思春期の子供と文学の関係も現代的な変容を余儀なくされていることを感じます。
このような可愛らしい表紙に惹かれて太宰を手に取る子供が増えたらいいなぁ。
生徒は喜んでくれました

4位:走れメロス

440円

「メロスは激怒した」から始まる「走れメロス」は教科書にも掲載されている作品なので読んだ記憶のある方は少なくないことでしょう。初出は1940年の「新潮」で、原稿用紙26枚の短編小説です。主題の美しさと文体の力強さが高く評価されている作品で、まさに学校教材としてうってつけなのでお子さんが読むのにも適しています。ちなみに「走れメロス」執筆のきっかけとなったと言われている熱海の件は太宰治らしいエピソードなのでそちらが気になる方はぜひチェックしてみてください。
おもはず「走れメロス」と応援したくなる小説であると同時に、誰しもつらくなると悪魔のささやきが聞こえ、それを乗り越えたところに幸せがあるのだと
思える作品です。

3位:斜陽

374円

1947年に出版された「斜陽」は「斜陽族」という言葉が生まれるほど世の中に知れ渡った屈指のベストセラー作品です。貴族制度が廃止され、境遇が変わることで財産も愛する人も失うという深い絶望とそこに見出すひとつの希望を鮮やかに描いた作品となっています。その後に発表された「人間失格」が半遺書的な部分もあり話題になることが多いですが、純粋に文学作品としてという意味合いであれば「斜陽」も非常に高いクオリティを持つ名作です。
この作品を含めて、高校時代に太宰作品を憑かれた様に
読みふけったことがありました。

担任の物理教師から、「(太宰は)思春期に通る麻薬みたいなものだ」と
告げられたこともありました。

その時から、30年経ち、読み直すと「貴族の凋落美」を感じるよりも、
先に、かず子に宛てた弟直治の遺書に、太宰の「生」への渇望、そして、
太宰自身の「違和感という自意識」を読み取ることができました。

読み手の経験値により、視点が変わるという気付きを得ながら、
重ねて読むことの意義を感じさせる作品です。
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