用例　竜騰虎闘の壮観があるだろうと予期した交渉は、かくのごとく散文的なる談判をもって無事に、迅速に結了した。主人のさかんなるはただ意気込みだけである。
類語　竜攘虎搏 竜戦虎争 両虎相闘

力の伯仲する二者が、力を尽くして激しく戦うこと。雌雄を決するような激戦を繰り広げることを意味します。「騰」は勢い盛んに天に昇ることで、「竜」は「りょう」とも読みます。

用例　月日を経るに従い、これぞまさしく因果応報の戒めなるべくやと、自然に観念いたすように相成り申し候。
類語　悪因悪果 悪因苦果 因果報応 前因後果 善因善果

人の行いの善悪に応じてその報いも善悪にわかれるということ。仏教のことばで、「因果」は、因縁（原因）と果報（報い）。ある原因のもとに生じた結果･報いの意。一般には、悪い行いに対する悪い報いの方をいうことが多い。

用例　の生徒は麟子鳳雛の集まり
類語　飛兎竜文 伏竜鳳雛 竜駒鳳雛

将来性のある子供のたとえ。麒麟の子と鳳凰のひなの意から生まれた言葉で、麒麟も鳳凰も想像上の動物で霊獣・霊鳥とされ、これらが現れると、めでたい兆しとされていました。

用例　孔明の神算鬼謀に比すべきものであった。大半が濁流におぼれ死んでしまった
類語　神機妙算 神機妙道

人知の及ばないような、すぐれた巧みな策略のこと。「算」も「謀」もはかりごと・計略を意味します。

用例　改過自新して、同じようなミスを繰り返さないようにする
類義語　改過作新　悔過自作

自分の過ちを改めて、新たに再出発すること。過ちを改めて心を入れかえること。「改過」は過ちを改めること。「自新」は自分で態度や心などを一新するという意味です。

用例　愚劣とみたものが、実は切磋琢磨の功を積んで成った虚飾ない真実の姿であるという場合もあり得よう。
類語　砥礪切磋

互いに励ましあって鍛錬や修行をすること。仲間が、互いに協力したり競ったりして、技量を高め合うこと。「切」は獣の骨や角などを切り刻むこと。「磋」は玉や角を磨く、「琢」は玉や石をのみで削って形を整える、「磨」は石をすり磨く意味です。

用例　私は京を遁れて、極楽浄土のような静かな所へ行きたいと思うて居ります。
類語　安養宝国 安楽浄土 安楽世界 九品浄土 極楽国土

仏教で阿弥陀仏がいるという、苦しみのない安楽な世界のこと。西方の十万億土の彼方にあるとされる理想の世界を意味しています。略して極楽と呼ばれることもあります。

用例　彼れ独り勝手に不朽不滅の霊魂、虚霊真空の精神、躯殻くかくの中に居て躯殻を支配する
類義語　千載不朽千古不磨百世不磨万古不磨万世不滅

永遠に朽ち滅びないこと。また長く久しく残るほどすぐれていること。

用例　戦後の新時代を迎えた東京が、日進月歩で、変貌へんぼうしつつあるのに、いつまでも、こんな片田舎に引っ込んでいていいのか。
対義語　旧態依然
類語　日就月将 日新月異

日に日に、絶えず進歩すること。進歩の度合いが急速であること。

用例　ぼくは力戦奮闘しました。
類義語　奮闘努力　努力奮闘

勇気をふるって力いっぱい戦うこと。一生懸命、努力していること。「力戦」は全力を注いで努力すること。「奮闘」は気力をふるいたたせて戦う、力いっぱい格闘する意味で、「力」は「りょく」とも読みます。

用例　海闊天空の好季節
類語　海闊天高

海や空がきわまりなく広がっていること。人の気性で心が広々として度量が大きく、何のわだかまりもないたとえ。また、言葉や発想などが限りなく広がるたとえ。「海闊」は、海のように広いこと。「天空」は、空がからっと晴れ上がって広々していること。「海闊天空」ともいいます。

用例　何となれば彼は俳諧者流の泰山北斗にして、その人物もまたわが歴史中に一位置を占む
類語　天下無双 天下無敵 斗南一人

学問や芸術など、その道で仰ぎ見られる第一人者のことを意味します。「泰山」は、中国山東省にある名山。「北斗」は、北斗七星を意味し、ともに仰ぎ見られるものであることから、略して「泰斗たいと」ともいいます。

用例　すべてが型破りで、それで天衣無縫の善智識で、なおかつ八十八歳の高齢を全うされたお方だ、と話してきかせた。
類語　純真無垢 天真爛漫

天人や天女の着物には縫い目がないという意から、詩文などが、よけいな修飾がなく、自然でわざとらしくなく完成されていること。また、人柄が純真ですなおで、まったく嫌みがないさま。物事が完全無欠であることの形容として使われます。

用例　竜跳虎臥の勢いをもつ書風

筆勢が何の束縛も受けず、縦横自在で、さまざまな字様を駆使していること。竜が天に向かって身を躍らせて跳び上がったり、とらが大地にからだを伏せる様子を筆の勢いに比喩ひゆしたもの。

用例　さて、臥薪嘗胆も大げさすぎるが、やけのやんぱちを宥なだめすかし、霞かすみをへだてて目をこらすうち、あるときはたと思いついた。
類語　越王之胆 坐薪懸胆

仇を討ち恥をすすぐために、長い間苦心や苦労を重ねること。転じて、目的を達成するために苦労を耐え忍ぶことを意味します。

用例　頭の傷口から流れ出る血が右眼にはいり、周三は左眼を頼りに獅子奮迅のいきおいで荒れくるった。

獅子がふるい立って暴れまわるように、激しい勢いで物事に対処することを意味します。「獅子奮迅の働きをする」というような使われ方をします。

用例 西行、私は花に応じ月に合わせて歌合を行うが、それは花鳥風月に遊ぶ閑雅な慰戯ではない。
類語　琴歌酒賦 春花秋月 雪月風花 風流韻事

自然の美しい風景。転じて、自然の風物･景色を題材にして詩歌を作ったり、絵を描いたりすること。風流なこと。風雅な遊びのこと。

用例　迅雷風烈の早わざ、迅雷風烈の攻撃

激しい雷と猛烈な風。事態が急激に変わるさま。行動が素早いさまをあらわします。「迅雷」は天地をとどろかす激しい雷鳴、「風烈」は激しく吹く風で、「烈風」と同義語として扱われています。

用例　苦沙弥君の文は行雲流水のごとしとありましたよ
類語　雲遊萍寄

空行く雲や流れる水のように、深く物事に執着しないで自然の成り行きに任せて行動するたとえ。また、一定の形をもたず、自然に移り変わってよどみがないことのたとえ。「行雲」は、空に浮かび流れていく雲のこと。「流水」は、流れる水のこと。空に浮かんで流れていく雲や、流れる水のように自然によどみなくという意味。

用例　正に一刀両断、薩長の手先、血祭にしてやる、しかし、おれも新徴組の片山だ。

一太刀で真っ二つにたたき切る意から、物事をためらわずに、思い切って決断･処理することのたとえ。

用例　このおびただしい、異常児達を目前にすると、まるで、魑魅魍魎に包囲されてしまったような恐怖に襲われる。
類語　百鬼夜行

いろいろな種類の妖怪や化け物。また比喩的に、表にはっきりと姿は現さないが、私利私欲のために暗躍する者のたとえ。「魑魅」は、山林の気から生ずる妖怪。また、山の神。「魍魎」は、山川、沼沢の気から生ずる妖怪。また、水の神を意味します。

用例　海道を風のように駈かけぬけ、電光石火の間に治部少輔と雌雄を決するだろう。
類語　紫電一閃 電光朝露

稲妻の光と火打ち石の光で、振る舞いや行動の素早いこと。またきわめて短い時間のたとえ。

用例　不撓不屈の努力こそ、能よく、最後の勝利を占める。
類語　独立不撓 百折不撓

どんな困難や障害をも乗り越える強い意志をもっているさま。「撓」は、木の枝などがたわむ。転じて、くじける。「屈」は、主義主張などをむりに押さえ込むことを意味します。

用例　就いては当今天下無双の強者と申すは、いずくの国の大将でござろうぞ。
類語　国士無双 天下第一 天下無比 斗南一人

この広い世の中で比べるものがないほどすぐれていること。「無双」は、世の中に並ぶものがないこと。「天下」は「てんが」、「無双」は「ぶそう」とも読みます。